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6月11日、欧州特許庁は今年の「欧州発明家賞」に「カーボンナノチューブ」を発見・開発した飯島澄男氏らが所属するNEC <6701> の開発チームを「非ヨーロッパ諸国」部門で選出した。

カーボンナノチューブは鉄をはるかに上回る強度を持ち、効率よく電気を流す特性を持つのナノ単位の極小な炭素素材で、同素材の発見とプラズマを用いた製造方法の発明が受賞の決め手となった。

欧州特許庁は「それまで知られていなかった炭素形態を明らかにし、継続的に生産できるようにした意義が大きい。カーボンナノチューブはコンピュータを速くさせ、車や飛行機などの部品を安定させ、太陽光発電において効率性が高めている。さらに医療の現場においてはガンの治療にも活用できる」とその高い応用性を評価した。

同開発チームは名城大学教授の飯島澄男氏、三重大学の小塩明氏、産業技術総合研究所の湯田坂雅子氏の3名からなる。

「欧州発明家賞」は、2006年に設立された賞で、技術的・社会的・経済発展に貢献した優れた発明に対して、産業部門・研究部門・中小企業部門・非ヨーロッパ諸国部門と功労賞の5つの部門と、一般からの投票で決まる「Popular Prize(ポピュラープライズ)」で構成されており、今回、日本のチームは非ヨーロッパ諸国部門において受賞した。

欧州特許庁のベルノー・バティステリ長官は「飯島澄男氏、小塩明氏、湯田坂雅子氏の研究のおかげで、宇宙エレベーターやナノ粒子を用いて病変部位にピンポイントで治療を行うなど、未来志向のアイデアが現実化できます」

「カーボンナノチューブの社会的及び経済的な効用は、その多岐にわたる応用範囲のおかげで甚大なものです。現在はまだ開発の初期段階にありますが、カーボンナノチューブは航空宇宙技術や生物医学に大変革をもたらす潜在能力を秘めています。」と開発チームの功績を讃えた。

なお、日本人の欧州発明家賞受賞は、「非ヨーロッパ諸国部門」では今回が5回目のノミネートで史上初の受賞。昨年、日本人初の「ポピュラープライズ」を獲得した、QRコード発明チームの原昌弘氏、長屋隆之氏、渡部元秋氏、野尻忠雄氏、内山祐司氏に引き続く、2回連続の受賞となった。

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