(この記事は2015年6月9日に「資金調達プロ」掲載されたものです)
4月に1億円以上の資金調達をした企業をまとめました。なお資金調達状況についての記載は、公表されている情報を元にまとめましたので、全ての情報が含まれているとは限りません。


株式会社Nagisa

株式会社Nagisaは、動画作成アプリ「SLIDE MOVIES」やカメラアプリ「かめカメラ」など数多くのスマートフォンアプリの開発・販売をしている企業です。

代表の横山氏は法政大学を卒業後KDDI、ネットエイジを経てNagisaを設立しました。創業当時は共同創業者が広告代理店出身ということで広告代理店事業を中心に展開しましたが、横山氏がメディア事業を立ち上げたいということで会社を分割して別会社化しました。別会社化後「Balloon」というメッセージアプリを立ち上げダウンロード数が50万を超えましたが、先行する「LINE」には追いつけないと判断してこのサービスを終了させました。その後はピボット(ビジネスモデルの軌道修正)しアプリポートフォリオ事業ということで、数多くの無料アプリを開発、リリースして広告収入モデルとして順調に成長しています。

今回の資金調達額は約1億円で、Donutsに対する第三者増資割当によるものです。資金使途は、開発およびプロモーションで、さらには新規の分野での事業を作っていくための投資にも使う計画とのことです。

Nagisaは前述の映像系アプリ以外にもゲーム、ユーティリティアプリなどの開発・販売を行っており、これまでの累計ダウンロード数は1600万を超えています。これまでの実績により、プロモーション費用をかけずにダウンロード数を伸ばすノウハウを蓄積していて、そのことにより既存株主からの追加増資があったとのことです。今期中には1億ダウンロードを目指しているとのことで、今後も注目していきたいです。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2011年3月 非公表 ネットエイジ、サムライインキュベート
2012年1月 非公表 ニッセイ・キャピタル
2012年8月 8,000万円 ニッセイ・キャピタル
2014年5月 約1億円 Donuts
2015年3月 約1億円 Donuts

公表日:4月2日 調達金額:約1億円


株式会社Origami

株式会社Origamiはブランドと消費者をつなぐ次世代のECプラットフォームを開発・運営しています。現在800以上のパートナーが参画し、いろいろな商品をソーシャルショッピングアプリ「Origami」上で販売していて、ユーザーは気に入った商品をすぐに購入することができます。

代表の康井氏はカナダのトロントで生まれ10歳までニューヨークで育ち、その後日本に帰国、16歳でECビジネスを立ち上げ、19歳からは投資を始めました。大学卒業後はリーマン・ブラザーズ、シリコンバレーのベンチャーキャピタルであるDoll Capital Managementを経て2012年にOrigamiを設立しました。

今回の資金調達額は16億円で、ソフトバンク、クレディセゾンおよび個人投資家に対する第三者増資割当によるものです。今後はソフトバンクモバイル等とはO2O(Offline to Online:オンラインとオフラインの購買活動が連携しあうこと)やオムニチャネル(実店舗やオンラインストアなどの販売チャネルを統合すること)の分野で協業、クレディセゾンとは彼らのカード顧客と「Origami」アプリユーザーの相互送客、決済ソリューションなどで協業するとのことです。

OrigamiはEC版のRettyという印象を持ちました。Rettyは、ぐるなびや食べログの次の世代でグルメな友人の口コミによってレストランなどを探し来店を促します。次世代のECプラットフォームとうたっているように「Origami」はソーシャルショッピングアプリで、趣味嗜好の近いユーザーをフォローしておくと彼らが購入したり「いいね!」したりした商品が自分のタイムラインに流れ、その商品をすぐに購入することができます。

また販売している店への来店を促進させることもできます。楽天やアマゾンで購入するときのように購入する商品が決まっていてネットで検索して購入する「目的買い」ではなく、実店舗で購入するときのようにウィンドウショッピングをしていて気に入ったので購入する「衝動買い」をさせるようなアプリで、非常に興味深いと思いました。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2013年1月 5億円 グローバル・ブレイン(KDDI Open Innovation Fund)、デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム
2015年3月 16億円 ソフトバンク、クレディセゾン、個人投資家

公表日:4月9日 調達金額:約16億円


C Channel株式会社

C Channel株式会社は、ファッションやヘアメイク、フード、トラベルなどの情報を動画で紹介する女子のための動画ファッションマガジン「C Channel」を運営しています。「C Channel」では、「クリッパー」といわれる女性モデルがお気に入りのモノなどの映像を主に自分で録画し、その動画が1分以内に編集されカテゴリごとに紹介されています。

代表の森川氏は、筑波大学卒業後日本テレビ放送網に入社、青山大学大学院でMBAを取得後ソニーに入社しました。その後ハンゲームジャパン(現LINE株式会社)に移籍し2007年に代表取締役社長に就任、2015年3月に退任し4月にC Channel株式会社を設立しました。LINEの社長を退任してゼロからC Channelを立ち上げたきっかけは、20代の頃に一緒に仕事をしたマスコミ業界の仲間たちと、メディアをもっと面白くしたいという話で盛り上がったからとのことです。

今回の資金調達額は約5億円で、GMO VenturePartners、B Dash Venturesがそれぞれ運営するファンドおよびアイスタイル、アソビシステムホールディングス、グリー、ネクシィーズ、MAKコーポレーション、楽天に対する第三者増資割当によるものです。

2015年3月に森川氏がLINEの社長を退任した後の去就が注目されていましたが、動画メディアを立ち上げてさらに注目を集めています。3年後には「C Channel」をMTVのようなメディアのブランドに育てたいとのことで、今後も目がはなせません。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2015年4月
約5億円 アイスタイル、アソビシステムホールディングス、グリー、GMO VenturePartners、ネクシィーズ、B Dash Ventures、MAKコーポレーション、楽天

公表日:4月10日 調達金額:約5億円


五稜化学株式会社

五稜化学株式会社は蛍光色素専業メーカーで、ケミカルバイオロジーを駆使してカルシウムやpH、酵素など機能性蛍光プローブを販売しています。蛍光プローブというのは、特定の条件のもとでのみ蛍光を発する試薬のことで、より高度な検出が可能であるため現在の生物学的研究には欠かせないものになっています。

今回の資金調達額は3億円で、東京大学エッジキャピタルが運営するファンドに対する第三者増資割当によるものです。資金使途としては、ライフサイエンス事業における蛍光プローブ製品の拡充、蛍光プローブをがん診断薬とする臨床開発および早期実用化の加速のためとのことです。

蛍光プローブによって特定の条件のもとで蛍光を発することができるので、ガン手術の際にガン細胞のみを光らせてピンポイントで切除するといった利用が期待されています。日本人の死因は30年以上にわたってがんが1位で、国立がん研究センターによると2015年のがん患者数の予測は昨年予測と比較して約10万例も増え約98万例とのことです。今後も増えていくであろうがん手術の際に役立つ技術として、早期の実用化を期待したいです。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2011年12月 非公表
2012年3月 非公表
2014年3月 非公表
2015年4月 3億円 東京大学エッジキャピタル

公表日:4月10日 調達金額:3億円


ベジタリア株式会社

ベジタリア株式会社は、現在の日本の課題である食と農業に関わる諸問題に焦点を当て、農業を食糧供給システムとして再構築し、成長産業に変革させることを目指しています。事業としては、ITを活用して畑の環境データを収集、解析する製品や、農作業のデータを記録し管理するアプリなどの開発・販売を行っています。

代表の小池氏は中央大学卒業後、電通国際情報サービスを経てネットイヤーグループを設立、代表取締役CEOに就任しました。その後ネットイヤーグループのベンチャーキャピタル部門とネットエイジを経営統合しネットエイジグループとして事業再編し代表取締役CEOに就任、2006年に東証マザーズに上場しました。その後、東京大学EMP(Executive Management Program)に入学、農業ビジネスに興味を持ち、2010年東京大学EMP発ベンチャーとしてベジタリアを設立しました。

今回の資金調達額は3億8,000万円で、東京大学エッジキャピタルが運営するファンドに対する第三者増資割当によるものです。資金使途としては、最先端の植物科学とテクノロジーを駆使した「次世代緑の革命」の実現に向けた事業拡大のためとのことです。

ベジタリアは2015年5月に新潟市、NTTドコモおよびウォーターセルと4社で「革新的稲作営農管理システム実証プロジェクト」に関する連携協定を結びました。どこにいても田んぼの様子をスマートフォンで確認できる先進的な技術を活用した効率的な農業経営を目指しています。教育×ITや金融×ITのベンチャー企業は数も多くて盛り上がっていますが、農業×ITも今後盛り上がってくるかもしれません。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2014年8月 非公表 ウォーターセル
2015年3月 3億8000万円 東京大学エッジキャピタル

公表日:4月10日 調達金額:3億8,000万円


クービック株式会社

クービック株式会社は、店舗や企業など向けの予約システム「Coubic (クービック)」、サロンやマッサージなどの当日予約システム「Popcorn (ポップコーン)」を運営しています。「Coubic」では美容院、サロン、マッサージなどのほか、貸しスペース、スクール教室、イベント、士業の相談など様々な予約受付で利用されており、サービス開始後1年で導入事業者が1万を超えたとのことです。

代表の倉岡氏は、東京大学大学院を修了後Googleに入社、GREEの米国法人を経て2013年10月にクービックを設立しました。元々は研究者の道を進むつもりでしたが、Googleが日本法人で本格的に新卒採用を始めたことで興味を持ち、そのまま入社しました。入社後シリコンバレーには毎月のように出張していましたが、現地では転職と起業が同じくらいカジュアルで起業の心理的ハードルは下がり、自身でも将来起業したいと考えたとのことです。このことがきっかけでGREEでの2年半の勤務後に起業しました。

今回の資金調達額は3億1,000万円で、Doll Capital Management、グリーベンチャーズがそれぞれ運営するファンドおよび個人投資家に対する第三者増資割当によるものです。資金使途としては、予約システム「Coubic (クービック)」および、サロン当日予約「Popcorn (ポップコーン)」の事業展開を加速するため、ならびに人材採用やマーケティングを強化するためとのことです。

レストランの予約など特定業界に特化した予約システムはありますが、業界を特定しないで汎用的に予約ができるシステムは比較的珍しいです。ターゲットをスモールビジネスオーナーに絞ってフリーミアムでサービスを提供していますが、彼らの別のニーズとして集客してほしいということがあります。そこで当日予約に限定した「Popcorn」を立ち上げたとのことですが、ユーザーを増やして店舗への送客がうまくいくかどうか注目していきたいです。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2014年4月 5,000万円 Doll Capital Management(アメリカ)、グリーベンチャーズ
2015年3月 3億1,000万円 Doll Capital Management(アメリカ)、グリーベンチャーズ、個人投資家

公表日:4月22日 調達金額:3億1,000円


株式会社Gengo

株式会社Gengoは、「人」と「テクノロジー」を独自の方法で融合させた、クラウドソーシングの人力翻訳プラットフォームのGengo®を運営しています。登録している翻訳スタッフは世界中に15,000人以上、37ヶ国語、63組の言語のペアに対応できます。

代表のロメイン氏はアメリカ人と日本人のハーフで、小中学校は日本のインターナショナルスクールで、高校からアメリカで学び、大学はBrown University、大学院はStanford UniversityにてMusic Science and Technologyの修士課程を修了した後、エンジニアとしてソニーに入社しました。日本語と英語ともに堪能なため、本業とは別にちょっとした翻訳を同僚に頼まれることが多く、これはニーズがあると確信しました。同時期に同様の事業を考えていたロバート・ラング氏と出会い、2009年6月にGengo(当時は株式会社myGengo)を創業しました。

今回の資金調達額は約6億4,000万円で、上記の投資家に対する第三者増資割当によるものです。資金使途としては、国内外における「Gengo®」のさらなる事業強化を目指し、設備投資、プロモーションなどに使う計画とのことです。

Google翻訳などコンピュータによる自動翻訳のサービスは数多く正確性も日々向上していますが、まだおかしな翻訳も少なくなく現時点では質の高い翻訳とは言い切れません。「Gengo®」ではクラウドソーシングの仕組みを活用することで、低価格で高品質な翻訳サービスを提供しています。さらに納期も非常に短時間だということも特長で、1文字あたりや1単語あたりといった単価が決まっているので見積は不要、クラウドソーシングなので依頼してから平均10分以内に翻訳に着手し平均1時間以内に完了するといったスピードです(ちなみに依頼の約60%は100語以内の短い文章)。グローバル化と言われてから久しく、ベンチャー企業でも海外進出は珍しくありません。今後「Gengo®」の需要はさらに高まり、企業も成長していくことでしょう。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2010年8月 5,000万円 個人投資家
2011年6月 100万ドル Point Nine(ドイツ)、個人投資家
2011年9月 525万ドル Atomico(イギリス)、500 Startup(アメリカ)
2013年4月 1,200万ドル Intel Capital(アメリカ)、Atomico(イギリス)、Iris Capital(フランス)、InfoComm(シンガポール)、STC Ventures(サウジアラビア)、NTTドコモ・ベンチャーズ
2015年4月 約6億4,000万円 リクルートホールディングス、SBIインベストメント、三菱UFJキャピタル、クラウドワークス、アライドアーキテクツ、リベルタッド、Intel Capital(アメリカ)、Iris Capital(フランス)、InfoComm(シンガポール)、STC Ventures(サウジアラビア)

公表日:4月22日 調達金額:6億4,000万円


アソビュー株式会社

アソビュー株式会社は、「とっておきのワクワクを、もっと身近に、すべての人に」をミッションとする遊び・体験の予約プラットフォーム「asoview!(アソビュー)」を運営しています。「asoview!」は全国約2,700店舗の事業者と提携していて、パラグライダーなどのアウトドアレジャーや陶芸体験といった体験プログラムなどを7,000以上紹介し予約もできるサービスです。

代表の山野氏は、明治大学法学部在学中にフリーペーパー事業の会社を起業、大学卒業後にリクルートに入社しコンサルティング営業や新規事業立ち上げを経験、その後2011年にカタリズム株式会社(2015年3月にアソビュー株式会社に社名変更)を設立しました。リクルートに入社するときから3年後には独立すると決めていたのですが、3年後の退職時にはまだ事業内容が定まっていませんでした。現代の日本はモノには満たされていますが心は満たされていないと思い、心が満たされるためには休日の過ごし方に関係が深いのではと考えて、「asoview!」の事業に行き着き事業を立ち上げました。

今回の資金調達額は約6億円で、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、ジャフコがそれぞれ運営するファンドおよびジェイティービーに対する第三者増資割当によるものです。これと同時にジェイティービーとは業務提携も結び、Web販売、エリアプロモーション、インバウンド、法人ソリューション、福利厚生サービスの5つの分野を柱としてサービスの提供を行っていくとのことです。また資金使途としては、「asoview!」の改善および予約管理システムの機能拡充、サポート体制の強化、ソリューション提案人員の拡充とのことです。

「レジャー白書2014」によると、11年ぶりに余暇関連事業が増加に転じました。また日本を訪れる外国人は2015年4月に過去最高の176万4,000人を記録しました。市場環境としてはアソビューの成長を後押しする形になっていますので、今後も期待したいです。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2012年10月 非公表 個人投資家
2014年3月 2億円 グロービス・キャピタル・パートナーズ、ジャフコ
2015年4月 約6億円 ジェイティービー、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、ジャフコ

公表日:4月22日 調達金額:約6億円


Repro株式会社

Repro株式会社は、iPhoneアプリの分析ツール「Repro」を提供しています。「Repro」の特長としては、従来の分析に加え実際のユーザーがアプリ内でどのような行動を取ったのか動画で分析しデータを提供することです。デモの動画がありますので、

こちら( https://youtu.be/2K6x5lkpYAQ )をご覧ください。このような動画を見ればユーザーがどのリンクをタップしてどのように遷移したか、どの点がわかりづらくてアクションをあきらめたか、といったことがよくわかります。

代表の平田氏は、慶應義塾大学卒業後、ベリングポイント、プライスウォーターハウスクーパース、KPMG、ベンチャー企業取締役を経て、2014年4月にRepro株式会社を設立しました。設立後、KDDIによるインキュベーションプログラム「KDDI∞Labo」の第6期に参加しグローバルクリエイト賞を受賞しました。

今回の資金調達額は1億円で、DGインキュベーションが運営するファンドおよびブレインパッド、SHIFTに対する第三者増資割当によるものです。また資金使途としては、経営基盤の強化、開発人材拡充やインフラ増強、マーケティングの強化とのことです。

今回の資金調達の公表日に、これまでベータ版での提供だったiPhoneアプリ向けの正式版をリリースしました。2015年に入ってから4カ月足らずですが、すでに昨年の4倍を超えるユーザー行動の動画が取得され、急速に成長しています。今後はAndroidアプリ向けのベータ版も提供開始予定とのことで、ますます成長は加速しそうです。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2015年4月 1億円 DGインキュベーション、ブレインパッド、SHIFT

公表日:4月22日
調達金額:1億円


ChatWork株式会社

ChatWork株式会社は、メール・電話・会議に代わる新たなビジネスコミュニケーションツールである「チャットワーク」を開発・販売しています。「チャットワーク」はチャット、タスク管理、ファイル共有およびビデオ会議の機能が、スマートフォン、タブレット、PCのマルチデバイスで利用できます。サービス提供開始以来180カ国以上で利用され、導入企業は7万社を突破しています。

代表の山本氏は、中央大学商学部在学中の2000年7月に中小企業のIT化を支援するためにECstudioを立ち上げました。2004年11月にChatWorkの前身となる法人組織である株式会社ECstudioを設立しました。ECstudioは創業後から、電話がない、顧客に会わないといった一風変わった企業ですが、最も重要な考え方に「しないこと14カ条」というものがあります。「ITを活用できないことはしない」「経営理念を共感いただける会社としか取引しない」「売上目標に固執しない」などと共に「株式公開しない」「他人資本は入れない」ということが含まれています。

今回の資金調達で他人資本が入りましたが、葛藤を続けた結果の決断でした。「チャットワーク」はユーザーから高い評価を得ていて期待も高いサービスですが、同様のビジネスコミュニケーションツールを提供する競合企業が増えてきて競争が激しくなりました。競合企業はベンチャーキャピタルなどの投資家から多額の資金調達をしているので、このまま自己資金の範囲で開発を続けていけばすぐに追い越されていってしまうという危機感が強まりました。「このままじゃ誰もHappyにならない」ということで役員会議で打診した結果、資金調達をして思い切り攻めるという結論になりました。

今回の資金調達額は3億円で、GMO VenturePartners が運営するファンドに対する第三者増資割当によるものです。また資金使途としては、システム開発強化のためのエンジニアの積極採用、新機能開発、新規ユーザー獲得に向けてのプロモーションおよびアライアンスパートナー開拓の推進とのことです。

創業以来14年間、他人資本を入れないということを守り続けてきましたが、今回これを打ち破り資金調達を実施したことは多数のメディアに取り上げられました。今回の意思決定が吉と出ることを願っています。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2006年1月 非公表
2015年4月 3億円 GMO VenturePartners

公表日:4月27日
調達金額:3億円


株式会社ネットコンシェルジェ

株式会社ネットコンシェルジェは、いろいろなECサイトの情報を雑誌風に読めるショッピング情報のまとめ読みツール「#Cart(カート)」を運営しています。ショッピング情報は、アパレルブランド、百貨店、ネットショップなど2,500以上の様々な企業が提供しています。モデルやアーティストが公式ユーザーとなり100名以上の公式ユーザーがショッピング情報を提供している企業の商品を紹介してユーザーの購買を促進し、購入されたら手数料を徴収するというビジネスモデルです。

代表の尼口氏は、明治大学経営学部を卒業後アメリカに留学、父親が経営するアパレル企業が倒産したことで日本に帰国し、1年間エンジニアとして経験を積んだ後にウェブコンサルティング会社のキノトロープに入社しました。1年ほど勤務した後の2003年11月にキノトロープの子会社として株式会社ネットコンシェルジェを設立しました。設立後はECサイトのブランディングのコンサルティングを行い、これまでに150を超えるECサイトの支援をしてきました。なお現在はキノトロープの子会社ではなく独立した会社となっています。

今回の資金調達額は2億円で、GMO VenturePartners が運営するファンドに対する第三者増資割当によるものです。また資金使途としては、マーケティング強化および人材拡充のためとのことです。

「#Cart」はソーシャルコマースに分類することができ、先に紹介した「Origami」と同様のサービスと言えます。「Origami」と異なる「#Cart」の特長は、商品の紹介が雑誌のようなデザインで毎日届くこと、100名以上の有名人公式ユーザーによる商品の紹介があることです。両方のアプリを使ってみましたが、「#Cart」は女性に、「Origami」は男性に支持されそうなイメージを持ちました。両社でソーシャルコマース市場を盛り上げていくことを期待します。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2005年5月 非公表
2009年7月 非公表
2015年4月 2億円 フューチャーインベストメント、アーキタイプベンチャーズ

公表日:4月27日
調達金額:2億円


BTCボックス株式会社

BTCボックス株式会社は、ビットコイン取引所の運営をしています。取引量は、1,500BTC/日で日本円にして4,000~5,000万円/日、12~15億円/月となっています。

代表のDavid Zhang氏は中国の大連出身で瀋陽工業大学卒業後、日本に7年間在住し、iPhoneのデバイス設計などを行う会社でエンジニアとして働いた後、2014年3月にBTCボックスを設立しました。設立は当時世界最大級のビットコイン交換所だったマウントゴックスが破綻した後で、日本ではビットコインは危ない取引だというムードが高まっていたときでした。David Zhang氏はビットコインに無限の可能性を感じていて、日本にビットコインのインフラがなくなってしまったら日本はこのイノベーションから取り残されてしまうという危惧を持ち、もう一度日本での自由なビットコイン交換所をつくろうということで、BTCボックスを設立しました。

今回の資金調達額は2億円で、Jトラストに対する第三者増資割当によるものです。Jトラストは2億円で200株を引き受け、所有割合は26.24%でBTCボックスを持分法適用会社としました。また資金使途としては、日本国内のビットコイン決済圏の確立、海外取引所の創設、新興国における新たな決済手段の提供、ビットコインを活用した新規ビジネスの創出のためとのことです。

今年に入ってからビットコイン関連のベンチャー企業が1億円以上の資金調達をしたのは、bitFlyer、テックビューロに続いてBTCボックスが3社目です。マウントゴックス事件から1年以上経ち、3月には楽天が米国での新たな決済手段としてビットコインを利用すると発表がありました。さらに4月にはゴールドマンサックスがアメリカ、中国のベンチャーキャピタル数社と共にビットコイン決済技術開発を行っているスタートアップ企業のCircle Internet Financialに5,000万ドル出資して話題になりました。ビットコインの可能性は依然として高いと認識されていて、今後国内でも取引が再燃するかもしれません。

資金調達状況(公表年月、調達金額、調達先)
2015年4月
2億円 Jトラスト

公表日:4月30日 調達金額:2億円

(提供: 資金調達プロ

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