スマホの需要でイメージセンサーも好調

回復の兆しが見えてきたとはいえ、経営不振から完全に脱出したとは言いにくいソニー。事業別の業績を見ると、イメージセンサーを中心とするデバイス事業が伸長していることがわかる。これは、ソニーのポートフォリオが変化してきた結果だ。ソニーの事業の中心はかつて、エレクトロニクス製品であったが、現在の主力事業は、映画や音楽、金融、ゲーム、デバイス事業となっており、ソニーの中期経営計画でも成長牽引事業に位置づけられている。その中の一つである、世界シェア首位のイメージセンサーを抱えているデバイス事業が成長を牽引しているのである。

イメージセンサーは、デジタルカメラやスマートフォンなどのレンズが取り込んだ光を受け取り、電子信号に変換して画像化する半導体であり、内視鏡などの医療用カメラや車載カメラ用など、多くの用途展開が見込める製品分野だ。グローバル市場でも需要が伸びており、調査会社のテクノ・システム・リサーチによれば、ソニーの「CMOSイメージセンサー」の2013年における世界出荷額は、前年比5.9%増の80億9220万ドルにのぼっている。

「CMOSイメージセンサー」分野が好調なのは、アップをはじめとする大手スマートフォンメーカーの需要が大きいからだ。アップルのほかにも、サムスン電子などのスマートフォンでも「CMOSイメージセンサー」が搭載されており、iPhone 向けに供給されるイメージセンサーの数は年間で1億個をも上回る。ソニーはこの需要拡大を見て、300ミリウエハー換算の月当たりの生産量を現行の6万枚から2016年9月末には8.7万枚へ拡充するとして、2015年2月に1000億円をかけて設備投資を行うと表明した。また、同年4月には450億円の追加投資を発表している。