ハローキティは少女だけのものではない
またパートナー企業も食料品からアパレルまで広く業態を問わない。細分化されたライセンス契約で、多くの企業と競合させることなくコラボレーションを可能にしている。業態を問わないことで、顧客層を広げ、現地の需要や反応を多角的に直接収集することができている。海外では、少女から若い女性がターゲットの日本とは異なる顧客層で人気だ。パートナー企業や現地の価値観を商品に反映することで、そのマーケットに最も適した商品が育ち、ファンに愛されている。
サンリオだけでの展開では、ハローキティはここまでグローバルなキャラクターにはならなかっただろう。ディーゼルやH&M、FOREVER21といったパートナーとの斬新なコラボレーションが現在のハローキティ人気をつくり上げた。セレブに愛される理由は、ハローキティというキャラクターの持つ日本的な「カワイイ」だけではなく、コラボレーションしているスワロフスキーやANNA SUIなどのブランドの影響も大きい。セレブに愛用されることで、メディアへの登場回数も増えるのだ。
海外事業と国内事業のギャップ
サンリオは、営業利益ベースでは国内よりも海外事業のほうが伸びている。これまで順調な成長をしてきたライセンス事業は、2015年3月の決算発表では、欧米でやや低迷しており、今後はアジア、特に中国での中長期的な成長を見込んでいる。パスポート料金の大幅値下げや新アトラクションの導入など、収支黒字化に取り組んでいる「サンリオピューロランド」をはじめとした国内事業も大きな課題だ。
サンリオの経営を支えているライセンス事業のクオリティの維持は容易ではない。パートナーに裁量権を与え、現地のセンス・価値観を受け入れているだけに、ひとつの商品開発の審査に多くの時間と労力が掛かる。海賊版の問題もある。コラボする国や企業の数だけ問題・課題があり、世界的なキャラクタービジネスを展開する企業としての、しなやかな強さも求められるだろう。(ZUU online 編集部)