業況判断D.I.:全規模全産業では足元、先行きともに横ばい
全規模全産業の業況判断D.I.は7(前回比横ばい)、先行きも7(現状比横ばい)となった。規模別、製造・非製造業別の状況は以下のとおり。
■大企業
大企業製造業の業況判断D.I.は15と前回調査の12から改善した。業種別では、全16業種中、改善が8業種と悪化の6業種を上回った(横ばいが2業種)。
設備投資の回復を受けて、生産用機械(11ポイント改善)、業務用機械(4ポイント改善)が目立つほか、回復が遅れていた窯業・土石(18ポイント改善)、紙・パルプ(14ポイント改善)、石油・石炭製品(11ポイント改善)が持ち直したことが全体の回復を牽引した。一方で、木材・木製品(29ポイント悪化)、鉄鋼(17ポイント悪化)、金属製品(7ポイント悪化)が全体を抑制。
また、反動減からの回復の遅れに加え、4月からの税制変更の悪影響を受ける自動車(4ポイント悪化)も冴えなかった。産業の裾野が広いだけに、他業種に対してマイナスの影響が広がった可能性がある。
先行きについては、悪化が8業種に対し改善が7業種とまちまちになったが、全体では1ポイントの改善を示している。木材・木製品(29ポイント改善)、石油・石炭製品(17ポイント改善)、鉄鋼(17ポイント改善)などが大きく改善。今回悪化した自動車(5ポイント改善)にも持ち直しの動きがみられる。
大企業非製造業のD.I.は23と前回調査の19から4ポイント改善した。業種別では、全12業種中、改善が9業種と、悪化の2業種を大きく上回った(横ばいが1業種)。
個人消費の持ち直しや春節に伴う訪日客の消費拡大の追い風を受けた小売(17ポイント改善)や宿泊・飲食サービス(9ポイント改善)が大きく貢献したほか、通信(12ポイント改善)も伸びた。なお、不動産(2ポイント改善)も小幅ながら引き続き改善しており、D.I.の水準では非製造業で最高に達するなど、金融緩和のプラス効果もうかがわれる。
先行きについては、殆ど全業種で悪化が示され、改善はなし。全体では2ポイントの悪化となった。今回大きく改善した通信(11ポイント悪化)が悪化に転じるほか、円安・原油価格持ち直しの悪影響を受けやすい運輸・郵便(9ポイント悪化)の悪化幅が大きい。小売(3ポイント悪化)も悪化に転じており、先行きに対して慎重な見方がうかがわれる。
■中小企業
中小企業製造業の業況判断D.I.は0と前回比1ポイント悪化した。業種別では全16業種中、悪化が10業種にのぼり、改善の6業種を上回った。業種別では、石油・石炭製品(9ポイント悪化)、電気機械(7ポイント悪化)、自動車(6ポイント悪化)の悪化が顕著。大企業の牽引役の一つとなった生産用機械(1ポイント改善)には目立った改善が見られなかった。
先行きは、悪化が7業種、改善が6業種とまちまちな状況に。はん用機械(10ポイント悪化)、業務用機械(7ポイント悪化)の悪化が目立つほか、自動車(2ポイント悪化)も引き続き悪化する見込み。全体では横ばいとなっている。
中小企業非製造業のD.I.は4と前回比1ポイント改善した。全12業種中、改善が7業種と悪化の3業種を上回った。宿泊・飲食サービス(12ポイント改善)が突出した伸びを示し、全体を牽引した。一方で、大企業では大幅な改善となった小売(横ばい)については、改善がみられなかった。
先行きについては、3ポイントの悪化となった。業種別では、小売(1ポイント改善)が辛うじてプラスとなったほかは殆どの業種で悪化が示されている。中小企業は経営体力の問題から、先行きへの警戒が高まりやすく、今回も景況感の悪化が示された。