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(写真=PIXTA)

◆日銀短観6月調査では、注目度の高い大企業製造業の業況判断D.I.が15と前回3月調査比で3ポイント上昇し、3調査(四半期)ぶりに景況感の改善が示された。大企業非製造業の業況判断D.I.も23で前回比4ポイント改善しており、順調な回復となった。

4月以降の経済情勢は強弱が入り混じっているが、製造業では回復の兆しが見える設備投資関連業種などの改善が目立ち、非製造業では訪日外国人の増加の追い風を受けやすい小売や宿泊・飲食サービスの改善が全体を牽引した。

中小企業については、製造業が前回比1ポイント悪化の0、非製造業が1ポイント改善の4に留まった。中小企業ではかねてより人手不足感が強いほか、利益の改善が遅れているだけに、賃上げや円安に伴うコスト増が景況感の重石になりやすい。先行きの景況感は企業規模によって方向感が分かれた。

大企業では米国経済や国内消費の回復などへの期待から、製造業・非製造業ともに改善が示された。一方で、経営体力の問題から、先行きへの警戒が高まりやすい中小企業では、製造業で横ばい、非製造業で悪化が示された。

◆15年度設備投資計画は、14年度(実績)対比で3.4%増と大きく上方修正された。例年、6月調査にかけては、計画が固まってくることに伴って上方修正される傾向が強いが、今回はこの時期として近年まれに見る大幅な上方修正が行われている。

これまで力強さを欠いてきた設備投資だが、従来よりも勢いが感じられる内容と評価できる。好調な企業収益を背景に投資余力が高まっている中で、設備の老朽化や人手不足に伴う省力化投資需要、一部生産設備の国内回帰の動きなどが反映されたとみられる。

日銀短観(6月調査)-1