ついこの間まで就職氷河期と言われていた雇用情勢が、このところ「人手不足」へと様変わりする展開となってきた。

全国の有効求人倍率は、2014年11月以来1倍を超え(求人数が求職数を上回る状況)、本年5月には1.19倍と23年2か月ぶりの高水準となった(季節調整値、厚生労働省6月26日発表)。

あと30年もすれば人口が1億人を割るという長期予測の世界では、成長のための労働力はいずれ外国人移民に頼らざるをえないとの見方もある。リーマン・ショック以来の需要低迷によって覆い隠されてきたこの「長期的懸念」が、いよいよその本性を見せ始めたということだろうか。

しかし、そう判断するのは時期尚早だろう。現在のところ、人手不足の業種や職種はまだまだ限られおり、大都市圏以外では、職探しに苦労する地域も少なくはない。有効求人倍率の水準自体も、外国人出稼ぎ労働者が万人単位で押し寄せたバブル絶頂期の1.4倍にはほど遠い。まだまだ「普遍的」人手不足の域には至っていないとみるべきだろう。