◆豪ドル

◇今週レンジ:対米ドル0.7350~0.7489ドル、対円90.51~92.43円(想定レンジ内)

(前週時点の予想:対米ドル0.730~0.760ドル、対円88.0~93.0円)

豪ドル/米ドルは、ギリシャ問題の影響を殆ど受けず、14日発表の豪NAB企業景況感・信頼感の予想比上振れ、そして15日の2QGDPを初めとする中国主要経済指標の予想比上振れを受けて0.74ドル丁度近辺から0.7489ドルへ小幅上昇した。

その後、15日にはYellen米FRB議長議会証言のハト派度後退、米経済指標の上振れからくる米ドル高に加えて、世界乳製品取引(GDT)オークション価格の10.7%下落を受けたNZドル安や、カナダ中銀の予想外の利下げを受けたカナダドル安にもつれたかたちとなって急反落し、一時0.7350ドルと年初来安値を更新し09年5月以来の低水準となった。

但し16日には中国株価の反発などを眺め0.74ドル台へ小反発している。

豪ドル/円は、週全体としては対米ドルで豪ドルよりも円の方が下落が大きかったことから、豪ドルじり高傾向となった。

週明けに91円台半ばから90円台半ばへ下落してスタートした後、15日にかけて一時92.43円の高値をつけた。その後15日の豪ドル急落を受けて91円丁度近辺へ反落するがすぐに反発し、16日には92円台を回復して推移している。

◇来週予想レンジ:対米ドル0.720~0.750ドル、対円90.0~93.0円

豪ドル/米ドルは、鉄鉱石価格の下げ止まりや豪失業率の上昇一服は豪ドル下支え材料となっているが、米ドル高傾向が強まる中でNZドルやカナダドルなど他のコモディティ通貨につれ安となり易い自愛となっている。

こうした中、今週は23日早朝に結果が出るNZ準銀(RBNZ)金融政策決定で、既に幅広く予想されている25bpsの追加利下げだけでなく、先行きの追加利下げも示唆すれば、連れ安となって下落基調が強まりそうだ。

豪ドル/米ドルは既に年初来安値の更新が続いているが、節目となる0.70ドルまで明確なサポート不在の中で、0.72ドル方向へ下落しそうだ。

なお、市場ではRBNZが今年10-12月期に向けて現在3.25%の政策金利が2.75%程度へ更に引き下げられるとの見方がコンセンサスとなっており、一部に2.50%への利下げを予想する向きもある。

22日発表の豪2QCPIについては、総合が前期の+1.3%から+1.7%へ大幅上昇予想となっているが、RBAが重視しているコアインフレ率(刈り込み平均と加重中央値の平均)は+2.3%で前期から横這いかつRBAのインフレ目標レンジ(+2.0~3.0%)に収まる見込みであることから、市場予想との乖離次第で上下に振れる可能性はあるものの、目先のRBA金融政策には大きな影響がなさそうだ。

◆その他通貨

ポンドは、6月以降BoE高官のタカ派発言が相次ぐ中で、22日発表の7月MPC議事要旨で既に利上げ票が投じられていたことが明らかになれば続伸しそうだ。

特にユーロ/ポンドは0.6962ポンドと年初来安値(ポンド高値)を更新し2007年以来の水準となっており、テクニカル的にも下落し易い(英金融政策およびポンド見通しについては7月16日付投資戦略テーマ「GBP:大西洋よりドーバー海峡」を参照)。

南アランドは、23日の南ア準銀(SARB)の金融政策委員会直前となる22日発表の南ア6月CPIが上振れする場合には、利上げはないにしてもSARBのタカ派化リスクが意識され上昇圧力となる。

SARBについて市場では、今回は政策金利が5.75%で据え置きが予想されているが、年内に6.0%超へ1回以上引き上げられると見る向きが多く、その鍵となるのがCPIだ。

(今週のレンジ実績は月曜から金曜昼頃まで、数値はBloombergより)

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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