ちなみに、人間とロボットのコミュニケーションを可能にさせているのが、ロボティクスと並行して注目されている技術分野である人工知能(AI)だ。人の発話や振る舞いなどをセンサーで感知、計測して集める膨大なデータをコンピュータが解析して、自動でより適切にロボットが反応できるよう支援している。象徴的な例が、IBMの人工知能「ワトソン」でペッパーのコミュニケーションもIBMのAIに支えられているとのことだ。

だが、今後、本格的な少子高齢化社会に向け、独居老人の心を支える家電としての需要もあるだろうし、スマホに代わるコミュニケーションツールとして、健康や安全をモニタリングする端末として浸透、普及していくことは想像に難くない。

東京五輪に向けて開発進むロボット運転

日系企業も自動運転技術の開発に熱心だ。加えて、海外のベンチャーキャピタルも日本国内のロボット関連のスタートアップに注目しており、側面からの支援も、改めて充実しつつあると言える状況だ。

具体的には、DeNA <2432> とロボットベンチャーのZMPは2015年5月、合弁会社「ロボットタクシー」を設立し、自動運転技術の開発を後押しする姿勢を鮮明にした。

新たな合弁会社の資本金は7億円で、出資比率はDeNAが66.6%、ZMPが33.4%となっている。社長にはDeNAの中島宏氏、会長にはZMP創業者の谷口恒氏が就任した。2014年から公道で実証試験を行っている。2020年東京オリンピック開催時、都内に多くの無人タクシーを走らせることを目標に掲げている。

ただ、自動運転技術を完全に実現するには、まだまだ長い道のりを歩む必要がありそうだ。一方で、一般の車でも障害物を検知して衝突回避のために自動でブレーキをかけたり、駐車場の中で無人かつ自動で駐車する運転技術が実装されつつはる。

しかし、SF映画のような自動運転技術にはほど遠く、現行法では、運転席に運転者がいなければ自動運転は認められていないという制度面の成約もある。つまり、一般にすんなり受け入れられているとは言い難いのだ。

課題は山積しているが、テクノロジーの面ではGoogleがこの夏、自動運転の実験走行を開始するなど実現に向けて、動き出している段階だ。