(写真=PIXTA)
ユーロ離脱危機も叫ばれたギリシャだが結局、財政改革法案が通過し、支援条件をクリアすることができた。ひとまず経済破綻は回避されたが、ギリシャが破綻すれば欧州通貨ユーロを通じて日本経済にも影響が出てくる。このように一国家の債務問題は、世界中を一気に巻き込む。日本国内の経済だけをみていて安心できるという時代は終わった。
このようななか、中国のバブルがはじけようとしている。リーマンショック後から始まった中国政府主導の株価上昇による好景気バブル。ところが、7月上旬の株価急落に伴い1000社を超える株式の売買停止を行うなど、なりふりかまわない株価下落対策が講じられた。
今後、中国バブルが崩壊した場合、爆買いの恩恵を受けている日本経済にも甚大な影響があるとされている。
爆買い効果で好調な業績だった小売、流通各社
影響を受けるのはどのような企業なのだろうか。爆買いによって好調な業績となった企業をみてみよう。
爆買いによって好調だった最たる企業は、百貨店だ。大阪・難波にある「高島屋大阪店」では、中国の大型連休「春節」の売上高は昨年と比べ約3.5倍に急増。日本一の超高層ビル、「あべのハルカス」に入居する「近鉄百貨店」も免税売上高が昨年と比べ5倍に急増した。これら百貨店は高級宝飾品やブランド品を買い漁る中国人富裕層に人気が高い。中古のブランド品を扱う「コメ兵」も中国人でにぎわっていて、売上も絶好調だ。特に中古のダイヤモンド製品の人気が高いのだという。
ドラッグストアや日用雑貨を扱う店もそのひとつだろう。ドラッグストア大手の「マツモトキヨシ」や「ドン・キホーテ」では、レジで免税還付できる店舗を増やしている。マツモトキヨシでは、このような店舗を今年末までに200店舗にする計画だ。昨年10月に観光産業振興のため、免税店の範囲を拡大する法改正が行われた影響が大きい。新たに化粧品や医薬品、そして食品が対象となり、ドラッグストアや雑貨店に中国人観光客が殺到しているのだ。
日本製の炊飯器や温水洗浄便座などを買い求めるため、中国人観光客が殺到している家電量販店にも影響が大きい。特に中国人は家電商品を自分用に1つ購入するだけでなく、親戚など家族のお土産として数個まとめ買いするので非常にボリュームが大きく、業績にも大きく影響している。それだけに中国バブルがはじけると売上げの落ち込みが懸念される。
都心の主要駅に近い「ヨドバシカメラ」や「ビックカメラ」といった家電量販店は反動が予想されるだろう。さっそく、売上高の7割を外国人向けの免税店であげている「ラオックス」は、中国人観光客の消費衰退による売上げ減が懸念され、株価も急落した。
盛況なホテルもしかりだ。東京・上野地区周辺では、ビジネスホテルを中心に稼働率は平均客室9割以上となるなど、最近では都内や京都・大阪では空室を探す方が難しい。観光庁によれば、東京、神奈川、大阪、京都といった都市部でホテルの稼働率は8割から9割となっている。
地方経済も爆買いで活性化
爆買いというと東京や大阪といった主要空港のある大都市を想像しがちだが、実はクルーズ船でやってくる中国人観光客も多い。飛行機では運べる荷物の容量も限られるが、クルーズ船ではそのようなしばりがなく、欲しいだけ買い物ができるため、人気が高い。そのためクルーズ船が入港できる大きな港を抱える街が、にわかに活気づいている。
中国から近い博多だけでなく、境港を抱える鳥取もその恩恵を受けた。7月には中国人観光客ら約4,700人を乗せた大型クルーズ客船が寄港。その人数が近隣のイオンに一気に押し寄せ、家電や日用雑貨、化粧品などをあるだけ買い占めていったという。2015年に境港に寄港したクルーズ船の乗客総数が7月22日の時点で1万6千人を超え、過去最高を記録した昨年1年間の1万4千人を早くも上回っている。
このように、中国人観光客を多く取り込み、インバウンド消費の割合が大きい企業ほど、失速による反動が大きいだろう。さらなる爆買いを期待するだけでなく、失速も念頭に置いて、戦略の見直しや資金を確保しておくといった対策を講じるのが賢明だろう。
(ZUU online 編集部)
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