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(写真=PIXTA)

◆昨日は、欧州時間にかけては先週金曜の米雇用統計後の米ドル安からの米ドル買戻しが入り米ドル/円などが持ち直したが、その後NY時間は銅や原油などコモディティ価格が大幅に反発したことから、カナダドルや豪ドルなどコモディティ通貨が上昇し、米ドルが反落したのが特徴的だった。

◆ドル/円も、欧州時間にかけて124円台前半から一時124.78円とほぼ雇用統計発表前の水準を回復したが、その後はFischer・FRB副議長のあまりタカ派的でない発言もあって、124円台半ばへ小反落した。

◆本日は材料が少なく、豪NAB企業景況感・信頼感、ドイツZEW期待指数くらいしかない。こうした中、ドル/円は124円台、ユーロ/ドルは1.08-1.11ドルのレンジ内で新たな方向感が出にくい一方、豪ドルは対米ドルを中心に反発基調が続きそうだ。


昨日までの世界:米雇用統計でドル反落

ドル/円は、欧州時間にかけては特段の材料がない中で先週金曜の米雇用統計後の米ドル安からの米ドル買戻しが入り、124円台前半から一時124.78円とほぼ雇用統計発表前の水準を回復した。もっとも、その後NY時間にかけては、銅や原油などコモディティ価格が大幅に反発し米ドルが反落する中で、Fischer・FRB副議長のあまりタカ派的でない発言もあって、124円台半ばへ小反落した。

Fischer副議長は、雇用は以前と比べかなり速いペースで増加しており、足許の低インフレの大部分は一時的、としつつも、低インフレは問題、とし、9月利上げに向けた地ならしとはならなかった。

ユーロ/ドルも同様に、欧州時間にかけてドル反発を受けて1.09ドル台前半へ一時的に軟化する局面がみられたが、その後大幅反発しており、1.10ドル丁度を上抜けすると上昇が加速、一時1.1042ドルへ続伸した。ギリシャ第3次支援に関して、当初予定の8月下旬よりも早く、本日11日にも合意に至るとの関係者発言報道も、ユーロ下支え要因になったとみられる。

ユーロ/円は、主にユーロ高を受けて上昇基調となり、136円台前半からNY時間にかけて一時137.42円へ上昇した。

豪ドル/米ドルも、欧州時間にかけては米ドル/円と同様に米ドル反発基調を受けて0.74ドル台から0.73ドル台半ばへ下落したが、その後のコモディティ価格の大幅反発傾向を受けて、0.74ドル台前半へ反発、結局元の水準に戻ったかたちとなった。

豪ドル/円も、92円丁度近辺から一時91円台後半へ軟化する局面も見られたが、その後は大幅反発し92.44円の高値をつけた。


きょうの高慢な偏見:豪・欧のセンチメント改善が米ドル高抑制

ドル/円は、材料が少ない中で、先週の125円台定着失敗で125円は上値が重い一方、米利上げ期待や本邦企業の対外M&Aに絡む円売り期待が下支えとなり下値も堅く、124円台での方向感のないもみ合いが続きそうだ。

ユーロ/ドルは、4日連続で上昇しているが1.08-1.11ドルのレンジ内で推移しており、材料面でも強い方向感がない。本日発表のドイツ8月ZEW期待指数は29.7から31.9への改善が予想されており、実現すれば3ヶ月連続の悪化が途切れることになり、ユーロ下支え材料だが、ユーロ圏PMIなどは概ね改善傾向が続いていたことから景況感の改善はサプライズではなく、ユーロ下支え効果は小さそうだ。

豪ドル/米ドルは、短期的な反発基調が続く中で、改善傾向にある豪NAB企業景況感・信頼感が更に改善するようだと続伸しそうだ。引き続き、対米ドルでの上値目処としては0.75ドル丁度近辺が意識されている。

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山本雅文(やまもと・まさふみ)
マネックス証券 シニア・ストラテジスト

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