(写真=PIXTA)
日本では高齢化対応が大きな社会テーマだが、これは米国も同じだ。戦後生まれの「ベビーブーマー」が高齢期にさしかかっており、その住まいをどうするかが大きな社会課題になっているからだ。リフォーム市場でも、在宅介護に備えたバリアフリー化工事の必要性などで、日米には驚くほどの共通点が見られる。
日本同様の"超高齢社会"に
まず棒グラフAを見てもらいたい。これは米国社会における高齢化の進展具合を示したものだ。
50~64歳、65~79歳、80歳以上の3分類で、それぞれの人口がどれくらい増えるかが示されているが、例えば65~79歳台は現在の2500万人が2030年には倍の5000万人に、80歳以上も同じく倍の2000万人に膨れあがる。すでに全人口の4人に1人=25%が65歳以上という日本より多少ましだが、米国も近い将来、同様な"超高齢社会"に突入することは明白だ。
30~40歳台はお金使わず
次のグラフBは、住宅リフォームのユーザー層を世代別に示したシェア図だ。一目で分かる通り、マーケットの主役は1945年から1964年生まれのベビーブーマー世代で、この傾向は、ずっと長い間変わっていない。
その下の世代、米国でGen-Xと呼ばれる現在の30~40歳台、あるいはMillennial世代の20歳台などは、期待されたほどはフォームにお金を使っていないようで、やはりマーケットの主役はベビーブーマーだということが改めてここで分かる。
エイジングプレイスに注目
それでは、ベビーブーマーの住宅ではどんなリフォームニーズがあるのだろうか。それを示したのが最後のグラフCだ。
米国のリフォーム市場では最近よく「エイジングプレイス」という言葉が使われる。これは、日本でいうところの介護リフォームとかハンディキャップ対応の工事ではなく、高齢期に入ってもなお元気に生活している人たちが末永く健康で暮らせるように、との考えに基づくものだ。
遅れ目立つバリアフリー対応
だが、実際の住宅事情を見てみると、グラフで示されているように整備の遅れが目立つ。このグラフでは55歳以上の人が暮らす住まいにおけるバリアフリー対応の度合いが示されているが、浴室入り口や部屋間では6~7割、玄関やエントリーでも4~5割の住宅で、まだバリアフリー対応の整備がなされていない。
今後、住まい手がさらに高齢化する前に、こうした状況は改善が必要だ。その意味でも、ベビーブーマー世代が今後もリフォーム市場の主役となり続ける可能性は極めて高い。
(提供: リフォーム産業新聞 7月21日掲載)
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