2015年夏の事情は

今年の夏に限っては、単にアノマリーとして片づけることができない理由も存在する。米国の利上げに向けて、マーケットが事前にそれを織り込んでいるという事情があるからだ。

7月15日にイエレンFRB(連邦準備制度理事会)議長が議会証言を行ったが、「FRBの見通し通りに経済が推移する限り、年内の利上げが適切である」との文言が含まれていた。米国の金融政策が変わることで、世界的な資金の流れが大きく変化することを多くの投資家が懸念している。

金融緩和を背景に株式市場に流れ込んでいた資金が引き揚げられるのではないか、新興国や資源国、商品市場に流れ込んでいた資金が逆流するのではないかというわけである。マーケットがこうしたリスクを徐々に織り込み始めた可能性はある。


利上げまでのスケジュール

米国の利上げに対応すべく、投資家はFRBの政策会合のスケジュールや経済指標のスケジュールに敏感になっている。9月16日・17日の米連邦公開市場委員会(FOMC)と12月15日・16日のFOMCがとりわけ注目されている。

また、これと関連するさまざまな経済指標の発表も予定されている。8月26日には米国の第2四半期のGDP改定値、同月28日にはPCEコアデフレータ、そして9月4日には米国雇用統計の発表が予定されている。

8月に入って米アトランタ連邦準備銀行のロックハート総裁は、FRBが9月のFOMCで利上げに動く可能性について「米経済は(利上げの)用意が整っており、変更を加えるのに妥当な時期だと考えている」との認識を示した。マーケット参加者が身構えるのも無理はない。先にも述べたように、アノマリーには科学的な根拠はない。

したがって、アノマリーに基づいた投資はおすすめしない。しかし、今年の9月以降は、米利上げをめぐり相場が大きく動く可能性は高いだろう。 (ZUU online 編集部)

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