物色の現状や投資環境から、銘柄をさらに厳選

前項では、第1四半期の業績を踏まえ、8月後半以降に市場で再評価される可能性があり、株価が上昇する期待が大きいと考えられる銘柄を探っていきました。ここでは、外部環境面や現実に物色されている銘柄の傾向をチェックし、表1で選んだ銘柄をさらに絞り込んでみたいと思います。

表3は、決算発表シーズン中に上昇した主力銘柄(時価総額1千億円以上、3月決算、金融を除く)を、値上がり率順に並べたものです。前項でご説明したように、第1四半期の業績が大幅増益になった銘柄が中心となっています。特徴としては内需セクターの銘柄が多いという点があげられます。特に、市場で人気の高い食品株がいくつもライクインしており、その人気が衰えていないことがあげられます。

内需株が優位となっている背景には、
(1)消費税増税から1年が経過し、その反動もあって今期の利益が拡大しやすくなっていること
(2)勤労者の賃上げや訪日外国人の増加など、消費の追い風になる材料が多いこと
(3)米政策金利の引き上げを控えていることや、中国による人民元の引き下げなど、為替相場に不透明感が強く、輸出関連株を手掛けにくい投資環境と考えられること

といった諸点が指摘されます。さらに、こうした投資環境には大きな変化がないとみられることから、当面は、ある程度、内需株を主体とした銘柄選択が優位になる可能性があると考えられます。ただ、表3の銘柄の中には、既に予想PERが割高ともみられる水準まで上昇している銘柄もありますので、これらの銘柄が今後も上昇を続けることができるかどうかは、慎重に吟味する必要があります。

表1ではまず、上昇率が10%未満の銘柄に絞りましたが、これは、過熱感の強い銘柄を避けることに加え、こうした割高感の強まりつつある銘柄も避けることが目的になっています。

表3:決算シーズンで物色された主力銘柄

以上のような分析を踏まえ、最後に有望銘柄として、表1から5銘柄を絞り込んだものが表4で色付きにした銘柄です。除外した銘柄について、SANKYOはROEが低く、現金の活用に課題があるとみました。

ニコンや東京精密は、半導体設備投資全般に不透明感があり、短期的には人気化しないリスクがあると考えました。千代田化工建設は、原油価格が再び安値を付けにきているため、それが落ち着いた後で再注目すべきだと考えました。プラント株は資源価格の低迷が強い逆風になるためです。またアルプス電気は2012年の安値から一時10倍以上に上昇した経緯があり、大きな相場は形成済みと考えました。

表4「見直し買いが期待される主力銘柄」表1のバリュエーション比較