「厳選5銘柄」を詳細解説
2015年度第1四半期の決算発表シーズンには、それ程大きく株価が上昇しなかった(または下落した)ものの、8月後半以降に市場で再評価される可能性があり、株価が上昇する期待が大きいと考えられる「厳選5銘柄」について、投資ポイントをまとめてみました。
◆日本ハム <2282>
人気の食品セクターの中で、割安感の強い銘柄として注目されます。ハム・ソーセージは売上高の1割に過ぎず、主力は売上構成比6割の食肉事業です。
2015年4~6月期は、売上高で前年同期比7.6%増、営業利益で同19.7%増と増収・増益でしたが、食肉部門がけん引役となりました。食肉部門を中心に豪州や米国など海外売上高も約2割あります。米国向けの豪州産肉が好調なようです。なお、豪州牛は中国と調達競争があるようですので、人民元の下落は当社に有利と考えられます。ROEは9.2%と標準以上、予想PERの22倍は今の食品株の中では低めです。
◆三菱地所 <8802>
海外経済の影響を受けにくい内需関連として不動産株が注目されます。当社は、我が国を代表する不動産会社です。俗に「丸の内の大家さん」と呼ばれ、都心部に広大な土地・建物を有し、それを主に賃貸することで収益を稼いでいます。
2015年4~6月期は、売上高が前年同期比10%増、営業利益が同34%増と順調でした。増益額のほぼ全てが入居テナント数の増加と賃料の増加からもたらされています。都心部のオフィス需要は活況で、当面は収益的にも好調が期待できそうです。
予想PERが56倍と高めですが、これは当社が膨大な含み資産を有していることが理由です。前期末の一株純資産1,078円に一株当たり含み益1,500円を加えた「実質一株純資産」は2,578円と計算されます。これを下回った株価を割安と考える投資家も少なくないようで、中長期的な下値メドになりやすい株価と言えます。
◆沖電気工業 <6703>
電気機器の中で、近年業績の回復が著しい会社のひとつですが、株価は低位に甘んじており、その修正に期待したい銘柄です。予想PERも9.8倍にとどまっています。
2015年4~6月期は、売上高が前年同期比10.7%増、営業利益が同4倍と好調でした。中国で省力化を目的としたATMの普及が進んでおり、その売上が拡大していることも追い風です。人民元問題で不安視される同国ですが、景気に左右されにくい分野でもあり、過度な懸念は不要とみられます。対ドル、ユーロでの円安も追い風になります。
◆日本曹達 <4041>
業績好調な化学メーカーです。売上の約3分の1が化学品で、独自の特殊技術を生かし、競合メーカーが少ない付加価値の高い製品を供給していて、農薬や医薬品にも展開しています。
2015年4~6月期は、売上高が前年同期比4.0%増、営業利益が同16.7%と好調でした。主力の化学品が好調だったためです。米国で飼料添加物を生産する子会社の業績が好調で、持分法投資利益も膨らんでいます。8/3に中間期の予想純利益を54億円から92億円に上方修正しましたが、通期も増額含みと言えそうです。
そうした点を勘案すると予想PER11.5倍、PBR0.95倍は割安感の強い水準と言えそうです。化学セクターは、大手が人民元安で中国の供給能力が高まることを警戒し、株価が下落するリスクがありそうですが、さらなる株価下落は、当社株をさらに割安にしそうです。
◆住友金属鉱山 <5713>
非鉄金属セクターの大手企業です。売上高(調整前)の71%がニッケルや銅の精錬事業、17%が車載用電池や高機能携帯電話向けを中心とする材料事業、11%が金などの採掘事業となっています。商品市況が高い程、また外為相場で円安が進むほど利益が増えやすくなります。
2015年4~6月期は売上高が前年同期比14.4%増、営業利益が25.3%増と好調でした。ただ、中国経済の減速で商品市況の悪化を織り込み、中間期の利益予想を若干下方修正しました。
そうしたこともあり、株価は低下基調が続いています。ただ、予想PER8.8倍、PBR0.84倍はさすがに「叩かれすぎ」のイメージが強まりつつあります。通期で3%近い予想配当利回りも魅力的に映ります。中長期で保有できる投資家であれば、チャンス接近と言えるかもしれません。
鈴木英之
SBI証券
投資調査部
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