デザイン盗作疑惑
(写真=HPより)

サントリーのノンアルコール飲料「オールフリー」のトートバッグプレゼントキャンペーンで、「既存のデザインに酷似したものがある」と指摘されたこの度のデザイン盗作疑惑。結局、30種類中8種類のノベルティ景品を佐野研二郎氏およびサントリーが取り下げることになった。これらのデザインが盗作であることを認めた形だ。


なぜこのような「事故」が起きてしまったのだろうか

一般的にデザイン制作では、全体を統括するクリエイティブディレクターの下に、アイデアを考えるアートディレクターや実際にデザインをおこすデザイナー、アシスタントなどがチーム体制を組んで業務を進める 。佐野氏が「(自身の)管理のもと、制作業務をサポートする複数のデザイナーと共同で制作」と述べているのはこのことを指していると思われる。

このように複数のスタッフが関与するピラミッド型のプロダクションシステムを問題視する向きもあるが、できる限り多くのオプションからデザイン案を選択し、さらに洗練させていくという観点から見ると合理的なシステムであり、これ自体には問題があるとはいえない。事実、このようなシステムで今まで数多くの傑作が生まれてきた。


模倣か否か「性善説」に頼るしかない

今回のノベルティ商品のデザインのように同じテーマで30種類ものバリエーションが求められる場合、テーマに関連し検討されたモチーフは膨大な数になったと容易に想像できる。今回の件でいえば「夏」というテーマに関連したモチーフについて、デザイン開発の前に徹底的にリサーチすることになる。のだが、ひと昔前では資料として写真集や雑誌、イラスト集などを調べていた。しかし、今はストックフォトやネット検索が主流で、リサーチの効率ははるかに向上した。そのようなリサーチは主にアシスタントの役割であり、彼らがピックアップした資料がデザイン開発の「インスピレーション」の元になる。

これらのリサーチで得られた情報からの「インスピレーション」によって制作されたデザイン案は、「模倣」ではないという前提で採用の可否が判断される。そのデザイン案が模倣か否かを細かくチェックするのは実質的には不可能だ。すなわちこれらの作業は「性善説」に基づいているのだ。

プロジェクト全体を統括するクリエイティブディレクターにはこの性善説を担保する責任があるが、現実にはスタッフを信じるしかないのが実情だ。佐野氏のコメントが正しいとすれば、彼は信頼できないスタッフを使ってしまったことになるが、責任はそのスタッフを選んだ佐野氏にある。

また、デザイン開発には手間をかけるほど「デザイン料」という人件費がかかるため、いかに効率的にプロジェクトを進めるかがビジネスマンとしてのクリエイティブディレクター(今回の場合は佐野氏)のもう1つの責任事項だが、効率を「手間を省く」こととスタッフが翻訳していたとすれば、直接的であれ間接的であれ、それを誘導したと受け取られても仕方ない。

はたしてこのような事態を防ぐことはできるのだろうか? 残念ながら、外部からチェックするのは非常に難しい。内部で監督するほかないだろう。具体的にはコンプライアンスの教育や指導、プロ意識の徹底などが挙げられる。

デザインという業界は目に見えない「信頼」という危ういものの上に成り立っていることが、今回の件で浮き彫りになったといえるだろう。ちなみに、佐野氏は複数のスタッフと進めた今回の作業での問題点もはっきりと認識しており、率直に責任を認める旨のコメントを出している。(ZUU online 編集部)

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