欧州委員会(EC)は9月4日、同委員会の調査の結果、2013年にEU諸国が徴収し損ねた付加価値税(VAT)の歳入が合計で1680億ユーロ(約22兆円)に上ると発表した。見込まれていた税収を15%下回ったこととなる。報告書は、主な要因として不正行為や支払い遅延、破産、管理ミスなどを挙げた。
VATは日本の消費税にあたる。欧州連合(EU)は、EUを単一市場として機能させ、国内および域内での公正な競争を守るためにVATを加盟国の共通税制と定めている。
この損失額はVATギャップとよばれ、租税債務合計(VAT収入の予想金額)と実際の徴収額の差と定義されている。今回の調査はEUに加盟する28カ国のうちの26カ国を対象としており、ECの公式ホームページに各加盟国のVATギャップの一覧表が掲載されている。
単純な損失金額でみると、経済規模が大きく豊かな国がワースト3となっている。イタリアが475億ユーロ(約6兆3,000億円)でトップ、ドイツ248億ユーロ(約3兆3,000億円)、フランスの140億ユーロ(約1兆8,700億円)と続く。
租税債務に占めるVATギャップ額の割合を示すVATギャップ率でみると、低所得国がワースト3を占めており、ルーマニアが41%、スロバキアが34.9パーセント、ギリシャの34%という結果となった。
これに対して、VATギャップ率の低いフィンランドやオランダ、スウェーデンは4%をわずかに超える程度であった。経済大国のドイツは11.2%、フランスは8.9%である。
経済的に苦しい国の政府は債務問題に悩まされており、緊張財政を支える方法としてVAT増税に頼ってきた。さらに、EU自体が各加盟国で徴収されるVATの相当部分を財源としている。加盟国での徴収損失はEUにとっても収入低下を意味する。
VATギャップの調査を実施してきたECは、以前よりEU加盟国に三つの取り組みを促し、支援してきた。まず、各国が租税に対し厳しい態度で臨み、国家レベルで強力な執行を行うことが不可欠であるということ。第二に、電子請求書を整備するなど、税制の簡素化に取り組み納税者が容易にルールに従えるようにすること。そして第三に、VATギャップを減らすために加盟国が自国の税制改革を行い、管理の近代化を行う必要があるということ。委員会は各国で実施可能な対策を設定し、技術的な支援活動を行ってきた。
欧州委員会経済・財務担当のピエール・モスコビシ委員は今回の声明で「この重要な調査により、EU全体のVAT徴収制度についてさらなる改革の必要性が改めて浮き彫りになった。あらゆるレベルで脱税や税金詐欺と戦うために必要な措置をとるよう加盟国に促す。これは委員会の最重要事項だ」と述べている。(ZUU online 編集部)
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