アパート
(写真=PIXTA)

英語でリアル・エステートと訳される不動産は、まさに「真実の資産」といえます。債券や株式といった金融資産は、国や企業の信頼や業績で価格が大きく変化し、場合によっては価値を失うこともあり得ます。不動産も価格は変わりますが、土地や建物という現物が確実に残るという意味では、真実の資産といえるでしょう。

地価が高騰したバブル期の不動産投資は、購入した土地や建物が値上がりによる売却益が主な運用でした。しかし、物価上昇や年金不安で将来への不透明感がぬぐえない現在は、賃料という定期的な収入が得られることが大きなメリットにあげられてます。

不動産投資は初期投資額が大きく、頻繁に売買できない特性があります。しかし、投資の初期段階とその後の定期的な管理をしっかりやっていけば、動かさなくてもいい収益資産を作ることにつながるのです。

自宅以外で活用できる土地を所有していている場合はもちろん、最近では自宅の建て替え時に賃貸住宅を併設するケースも増えてきています。このような不動産投資が可能な環境にあるならば、ぜひ資産運用のひとつに加えてほしいと思います。


立地選びは入居者選び。地域に合った経営を

賃貸住宅経営では、周辺環境の変化で不動産価値が変動するリスクや、災害によるリスクなどが考えられます。入居者不在で賃料が入らない「空き室リスク」も代表的なリスクです。しかし、こちらは立地を慎重に選び、周辺の住環境をしっかり理解し、入居をしてもらうためのメンテナンスやサービスを実施することでコントロールできるリスクといえます。

リスクコントロールのなかでも重視したいのが立地です。立地選びは入居者選びでもあります。新たに不動産を購入する場合はもちろん、すでに所有している土地を活用する場合でも、その地域で求められている住まいへのニーズや、どんなライフスタイルの入居者がターゲットになるのかを調査して取り組んでいきましょう。

10〜20年という長期的な運用となる不動産投資では、投資物件が「もともとどんな場所か」「現在どんなっているのか」「これからどうなるか」の調査と予測が重要です。それらを踏まえた上で、その物件を適正に運用していければ、適正な収益が期待できるのです。


入居者のニーズに合わせたサービスが欠かせない時代に

また、今は入居者のニーズに合わせたメンテナンスやサービス提供が欠かせない時代になりました。

実際に私が企画した例を挙げると更新時に専門業者によるお掃除サービスを実施したことがあります。継続的に住んでもらうだけでなく、大家さんにとっては部屋の利用状況がわかるため双方から好評でした。今は2回以上更新する入居者も少なくありません。大家さんにとっても、住み続けてもらえることはプラスのため、こうしたサービスを実施したわけです。


相続税の節税効果にも期待

賃貸住宅は、賃料収入を得られるだけでなく、賃貸住宅にすることで土地や建物の評価が低くなるため、相続税の節税効果が期待できるのも特徴です。ただし、今は入居割合に応じて計算されるため、こうしたケースでも空き室リスクを抑える工夫は重要です。

なお、相続税は制度改定が予定されていますので、ハウスメーカーさんの窓口で最新の情報を得るようにしてください。


住まいに賃貸住宅を追加するケースは…

相続税対策や退職後の収入源として、今ある住まいに賃貸住宅を追加するケースも増えています。改築費用は家賃収入で軽減できるほか、賃貸を前提にした設計をしておくことで、子どもの自立後に子ども部屋を改築して賃貸にするなど、ライフスタイルの変化に合わせたスタイルも多く見られるようになりました。

立地や建物、コストや相続問題などをクリアし、賃貸経営を軌道に乗せるためには、まず情報が必要です。各地域の不動産会社やハウスメーカーの窓口では、木造アパートから鉄筋マンションまで、さまざまなバリエーションの経営がパッケージされているものもあります。

また、資金面の問題にも相談できる場合がありますので、こうした身近な情報源を活用して、ひとりひとりが理想とする賃貸経営を実現してほしいと思います。


佐藤 益弘(さとう よしひろ) 株式会社優益FPオフィス /代表取締役を務める。 ファイナンシャル・プランナー。保有資格:CFP、FP技能士(1級)、宅地建物取引士 、住宅ローンアドバイザー((財)住宅金融普及協会)

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