台風の忘れ物
(写真=PIXTA)

2015年9月、関東や東北は「50年に一度」の豪雨に見舞われ、鬼怒川の堤防が決壊するなどして甚大な被害が生じた。住宅が濁流に飲み込まれてしまった場合、財産はどうなってしまうのかと心配に思った人もいるかもしれない。そこで今回は、財産を自然災害から守る火災保険について、加入時のポイントや賃貸物件のケースの注意点、10月からの保険料改定内容について解説しよう。


竜巻や突風、雪害、落雷もカバー

「火災保険」というと、火事になった場合の損害を補償してくれる商品だと思っている人が多いかもしれないが、実際は豪雨や竜巻による被害も広く補償している。土砂崩れや豪雨による水没被害は「水災」、竜巻や突風による被害は「風災」として補償の対象となる。その他、雪害や落雷による被害も対象には含まれる。建物などの損害は、ほぼすべて火災保険でカバーされるといえる 。

では実際に加入する際、どのような点に注意したらよいのだろうか。


どこまで補償が付いているかは要確認

最近は各社横並びのパッケージ商品ではなく、個人が自由にカスタマイズできる保険商品が増えてきている。保険料を節約するために「水災」の補償をつけないことできるが、その場合、豪雨の被害にあっても補償されない。自分の火災保険が水災に対応しているのか心配な人は、保険証券を見るか、保険会社に問い合わせてみるとよいだろう。

火災保険の補償対象は、「建物」と「家財」とで分けられている。水害などの場合、家具や家電製品などの家財も使えなくなることが多いので、「家財」も補償対象にしておく方が安心だ。ちなみに、水害と認められる要件は、一般的に床上浸水または、地盤から45センチメートルなどと定められていることが多い。保険会社によっては、さらに面積要件があるなど、支払要件が異なるので、加入する際はよく見ておく必要がある 。

賃貸住宅については、原則として賃貸人(物件のオーナー)に建物の修繕義務がある。したがって、特約などがない限り、賃借物件が自然災害により損害を受けたとしても、賃借人(住民)は何もする必要はない。賃貸人がすみやかに修理をしないような場合には、修理を請求することができる。ただ、床上浸水などにより、家財に被害が生じた場合には、賃貸人に損害を請求することはできないので、自分で家財保険などに加入しておく必要がある。