「減速」と「単なる調整局面」で別れる意見

政府系シンクタンク社会科学院では、中国経済に対する両極の見方が存在することを認めている。「減速が進む」とするものと「単なる調整局面であり心配ない」という2つだ。

また評論では、ややこしい言い回しを多用しながらとにかく減速の見方を否定し、輸出主導型モデルから消費主導型モデルへの転換は必然だと述べている。そして浙江省、重慶市、深?市などの先端IT産業の成功例を挙げ、高付加価値産業の先進モデルにおける進展を称揚している。このように最近では、輸出に頼らない経済成長を公言し始めている。これらの論調はより具体的な話となって地方紙へ波及する。例えば8月の全国小売総額は10.8%増との記事の後で、地元企業の構造転換の成功事例などを読者に紹介している。


低下する貿易の比重 民間の投資機会も減少傾向

輸出、国内消費とならぶGDP成長エンジンの投資はどうだろうか。

国家統計局による2015年1~8月の全国固定資産投資(農家含まず)は、+10.9%だった。二ケタ伸長で順調のように見えるが、前年同期は+16.5%であり、右肩下がりだ。民間の投資機会は本土では減少しつつある。“一帯一路”構想や、AIIBアジアインフラ投資銀行設立によるアジアへのインフラ投資は、こうした状況を打破するための処方箋という意味合いが強い。すでに“鬼城”(ゴーストタウン)ばかり林立させてしまった建設業界には、一定の救いの手となるだろう。それに投資なら、データ加工も意のままにできる。

一方、貿易データはあまり恣意的に加工できない。まさにそのことによって経済論壇から忌避されつつある。貿易データを見ている限り、不況は確実なものになってしまうからだ。そしてその印象を避けるべく、皆で知恵を競い合っていると言っていい。

貿易の比重低下は避けられなくても、それら言説が回りまわって実体に影響を与え、さらなる貿易の縮小に寄与することがないよう願いたい。(ZUU online 編集部)

【関連記事】
・JR西日本が「自撮り棒」を使用禁止に、19日から同社管内で
・11月4日上場へ!日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命の上場を徹底解剖
・日本人大富豪ランキング トップ20の顔ぶれはこれだ!
・日経新聞/日経MJから、四季報まで全てネットで閲覧可?その意外な方法とは
・人類史上長者1位は誰?「現役」からはビル・ゲイツ氏が9位にランクイン