SNSでは抗戦勝利70周年パレードの画像が多数
9月3日に挙行された"抗戦勝利70周年"軍事パレードは、国民に大きな興奮をもたらした。微信(SNS)には大量の国旗、テレビ画面、愛国コメントが多数流れていた。投稿主は、普段政治とは全く無縁の一般人ばかりである。
習近平国家主席は、汚職・腐敗への切り込みに続いて、国民の心をつかむことに成功した。一般国民に「アメリカと戦って勝てると思うか?」と聞いてみると、「それは言わなくてもよい、強そうに見えることが大切だ」といかにも中国的な答えが返ってきた。
習近平主席はこの日の演説で、この軍事力は決して覇権を求めるためのものではなく、"和平の剣"であることを強調した。これはおそらく本音である。
昇進には上納金が必要な腐敗体質 集金能力に秀でたものが昇進する
執行猶予付き死刑判決を受けた、解放軍前総後勤部(兵站を担当)副部長の谷俊山が関わった不正額は、4000億円以上に及ぶ。
彼の調達した装備が、全て所定の性能を発揮するとは、とても考えられない。また元制服組トップで現在審理中の郭伯雄の自宅では、4兆円を超える隠し財産が見つかった。その一部、豪華な珊瑚や玉製品コレクションの写真がネット上に出回っていた。
解放軍では昇進には上納金が必要で、能力、実績とは関わりなく、集金能力に秀でた者が上に行く。トップはねずみ講の親玉と何ら変わらず、人事をいじるだけで大金が転がり込む。福利厚生も手厚い。海軍基地のある山東省・青島のある退役将軍は、今年80歳になるが、200平方メートルのマンションに住み、海軍の車を一生涯、好きなように使える。おかげでタクシーにすら乗ったことがないほどだ。
季節がよくなれば、軍の保養施設に夫婦で出かける。何もかもタダである。習近平政権になって、これは廃止され、軍は利権の一つを召上げられた。今、軍幹部にとって最大の目の上のタンコブは、日米などの敵性軍隊ではなく、体質そのものにメスを入れようとしている党主席であろう。
ソフトパワーの圧倒的な差
現代の空中戦において、戦闘機の性能そのものは、すでにどうでも良くなっているという。勝敗を決するのは後方において情報収集と戦闘指揮に当たるAWACS(早期警戒管制機)のソフトウエアだ。アメリカ軍は最新の電子装置と膨大な解析データをもっていて、しかも定期的に湾岸戦争、イラク戦争など戦争を行い、実戦に基つく更新を続けている。
解放軍のAWACSは、ロシアの機体に、スウェーデンの技術を取って付けたもので、いわゆる似て非なるものだ。また戦闘機のエンジンでも、日本の自衛隊が世界最高の整備力を持つのに対し、解放軍機の主力エンジンはロシア製で、寿命はとても短い。ロシアからの部品供給が滞るだけで即アウトになる。何事につけ見かけ重視でソフトパワーを伴っていない。他の兵器分野も同様だろう。アメリカに対し正規軍対正規軍の戦いなど、とても挑めるものではない。
軍縮計画と今後
9月3日の演説では30万人の軍縮計画も発表された。人民解放軍は、新中国成立直後の1950年には人員550万人を抱え、朝鮮戦争時には627万人となったが、10次にわたる軍縮を行い、今回は第11次になるという。中国は常に軍縮してきた、というメッセージだ。
今回注目すべき点は、兵員を230万人から200万人に減らすことだ。国防部の報道官は、減員で浮いた金をどう使うのか、との質問に、武器、装備のレベルアップ、電子データ化の推進、軍人報酬のアップ等に当てる、使いみちはいくらでもある、と答えた。つまり軍縮とは名ばかりで、不要人員の排除をしながら、軍本来の機能の強靭化を目指したものだ。見かけだけではなく、少しでも本当に戦える軍隊にしたい、というのが習近平主席の本音だろう。
しかしこれを阻むのも、やはり身内、獅子身中の虫である、古い利権型の軍幹部たちに違いない。組織風土は一朝一夕に変わるものではないし、彼らは組織内サバイバルにおいて、その天分を如何なく発揮、抵抗するだろう。とにかく解放軍では、当分、内部疲弊が続くことは間違いなさそうだ。それこそが世界にとって"和平の剣"になる、と言ったら皮肉にすぎるだろうか。(ZUU online 編集部)
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