21世紀最大のIPOとも言われている郵政グループ3社のIPOが目前に迫っている。政府が株式の100%を保有している日本郵政 <6178> と、その金融子会社のゆうちょ銀行 <7182> 、かんぽ生命保険 <7181> の3社同時上場となり、市場からの調達資金は1兆円を超える見通しだ。

これは1998年のNTTドコモ <9437> の約2兆1000億円以来となる大型案件だ。


IPOは投資家にとってどんなメリット、デメリットがあるのか

なぜIPOがこれほどまでに投資家の注目を集めるのだろう。本当にIPOは投資家にとってメリットがあるのだろうか。まずはIPOの魅力を確認する。一般的にIPOを実施する企業は新興企業など歴史の浅い会社が多く、今後の業務急拡大が期待できる。

したがって、上場後の株価が大きく上昇する銘柄が多い。さらに、銘柄によっては上場後、数カ月の間に株式分割を行う企業が多いことに加え、公募価格(売出価格)は割安に設定される場合が多い。

要するに今後の成長が期待できる企業の株を割安に入手することが可能ということになる。また、取得にあたっては手数料がかからないというメリットもある。

その一方でIPOならではの注意点があることも事実だ。上場直後は需給関係が安定せずに株価が一方通行となりぶれやすい。株価が居所を落ち着けるまでには数カ月を要することになる可能性も頭に入れておきたい。

また、最近では上場した直後から株価が下がり続けるケースが頻繁に見られる。ソーシャルゲームを手がけるgumi <3903> の場合はそればかりか業績の下方修正、情報開示の不手際などが続き、投資家からひんしゅくを買ったばかりか、「上場ゴール」という造語まで生まれた。

このようにIPOのなかには投資家に対する背信行為ともいえるものすらあることは頭に入れておきたい。

とはいえ今回の上場には名目がある。政府は、日本郵政グループ3社の株式上場で得る売却収益から4兆円を東日本大震災の復興財源に充てるとしている。新規上場時を含め、3回ほどに分けて株式を売り出す方針を公言しているため、売り出しの初回で失敗は許されないのだ。


申し込みまでのスケジュール

さて、日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険のグループ3社の上場までのスケジュールを確認しておこう。

3社の上場予定日は11月4日だ。日本郵政は3億9600万株、ゆうちょ銀行は3億2995万3800株、かんぽ生命保険は5280万株が売り出される予定だ。

上場までに証券投資への専門性が高い機関投資家などからの意見をもとに仮条件が設定され、投資家に提示される。今回の場合、仮条件決定は3社とも10月7日が予定されている。投資家はこの仮条件を見て、その範囲内で希望価格を提示することになる。その後、投資家からの需要を把握し、市場動向にあった発行価格が決定されることになる。

日本郵政のブックビルディング期間は10月8日から10月23日、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険のブックビルディング期間は10月8日から10月16日だ。

こうした手続きを経て売出価格が決定されることになるが、決定日は日本郵政が10月26日、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が10月19日の予定だ。申込受付は日本郵政が10月27日から30日、ゆうちょ銀行とかんぽ生命保険が10月20日から10月23日の予定だ。


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