カギを握る現地人の活用

西アフリカは、日本企業にとって、地理的要因、インフラの未発達により、コスト削減のための製造拠点としては適していないことは明白だ。昨今、急速に悪化しているエネルギー問題も深刻だ。

2013年末頃には停電になるのは月に1度ほど、それも数時間だけだったのだが、2015年には24時間停電の12時間通電の繰り返しといった有様だ。典型的なミドルクラスの一軒家で、ジェネレーターを稼働すると月900セディ(約3万円)もかかる。

電力事情悪化に伴い食べ物の値段も高騰している。飲食店チェーン店では、昨年に比べ、40%ほど値上げした会社もある。停電によるジェネレーター稼働代、年中故障する車の維持費、送電線の故障修理費など数え上げればキリがないほど、予測できないコストがかかる。人件費も東南アジアとさして変わらない。

このように万全なインフラがない状況で、外国企業が成功するカギは何だろうか?

とある外国資本の飲料メーカーでは、現地人の積極的な活用と裁量をもたせたところが非常に大きかった。本国での売り上げ以上に、ガーナでのシェアを大きく伸ばしていた。また、IBMではガーナ人のカントリー・マネージャーが、一人でオフィス探しから始め、数十人体制まで拡大させたという。

優秀な現地人の確保は、人材も限られており、非常に難しい。長年、ガーナで事業を行う欧州企業では、現地にあてになる人材紹介会社がほとんど存在しないため、日本の新卒採用システムのような独自の採用システムを築き上げ、優秀な人材を包囲しているところもある。