「雇用」こそがアフリカの発展に必要

ガーナに限らずアフリカでは、欧米で教育を受けた人が、そのまま欧米で就職するという「頭脳流失(Brain drain)」 が 問題 になっている。 腐敗が横行する生活に戻るより、楽で快適な環境での暮らしを選択する人が多いのだ。また、母国に戻り、国の発展のために働きたいと思っても、培った技術や知識を活かす就職先が少ないという問題もある。今のアフリカに必要なのは、「援助」ではなく、持続可能な「雇用」システムだ。

一方で、希望の兆しが見え始めている。これまでであれば、海外に留まっていた留学組が、経済発展の熱に後押しされ、母国に戻り起業し始めたのだ。その中には、MITやINSEADを卒業したような優秀な人材も含まれる。国を担うのは、こうした若い起業家たちである。

ガーナで、特権階級出身でない若者が「ゼロから何かを成し遂げる」のは、並大抵のことではない。銀行は中小企業への貸出を行わず、たとえ貸出したとしても、金利は36%以上。長者番付を見れば、政治家の家族ばかりだ。

だが筆者が、赤土の舞うこの地で出会った多くの若者は、優秀で、キラキラと輝く目をして、将来を語ってくれた。厳しい環境下でも、より良い明日を目指して、昼夜を問わず必死に働いていた。その前向きに挑戦する若者の姿を、なかなか語られることのないガーナのリアルな「今」の一つとして最後に強調し、筆を置きたい。

<著者プロフィール>
大山 知春(おおやま・ちはる)MBA取得後、2013年、ガーナにて、ECとコンサルティングを軸とした MindNET Technologies Ltd を共同設立、ガーナ初のファッションオンラインストア VIVIA を立ち上げる。その後、ガーナと日本の通商活性化を目的とした VIVIA JAPAN を設立。ガーナ原産天然素材を使ったオール・ナチュラル・スキンケアブランド JUJUBODY を展開する。

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