東芝の事例は「あく抜け」か?

一方、最近のあく抜けの事例をあえてあげるとすれば、東芝 <6502> の値動きがそれに近い。9月15日に年初来安値293円を付けた後、短期筋とみられるリバウンド狙いの買いが入り、320円付近まで値を戻している。

前日14日には、東芝が会計不正問題の影響で延期していた2015年度の第1四半期(4~6月)連結決算を発表、連結純損失は122億円に上った。この日には東芝の室町正志会長兼社長が記者会見し、一連の不正問題を改めて陳謝した。

また、競争力のない白物家電事業からの撤退を示唆した。さらに、東京証券取引所は東芝に内部管理体制の改善を求め、同銘柄を特設注意市場銘柄に指定した。これを受けて、翌15日は取引開始直後に東芝株の売りが殺到したが、そこでいったん底値をつけた形となっている。

ただ、東芝については「市場の信頼回復には時間がかかる」(欧州系証券関係者)と厳しい見方をする専門家が多く、依然「あくが抜けた」と受け止める市場参加者は少ないため、株価の反発も弱々しい状態だ。

現在、日経平均株価は、方向感の定まらない展開が続いている。中国の金融市場の混乱をきっかけに、投資家のリスク回避の動きが止まらないためだ。

17日の米FOMCでは、中国など新興国の減速への警戒感を理由に、事実上のゼロ金利の維持を決定した。とはいえ米連邦準備理事会(FRB)は年内の利上げ方針を堅持しており、10月か12月のFOMCで利上げが検討されるとみられているが、今回のFOMCでの金利据え置きは、ゼロ金利政策を収束させることの難しさを示すものとなった。

東京株式市場を取り巻く環境は依然として不透明感が強い。日経平均株価の上昇に向けて、1日も早い「あく抜け」が待たれるところだ。(ZUU online 編集部)

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