相次ぐ社長の逃亡 数千人の従業員が失職する事例多数

目先の利益にこだわる姿勢は経営者にも共通している。創業事業に実直にこだわりを持つ経営者はあまりいない。畑違いの儲け話に簡単にのったり、不動産や株へ手を出したりするのはむしろ普通だ。儲からなくなれば事業をたたむことにためらいはない。「来年以降の市場環境変化への対策とは、今年せいいっぱい儲けておくこと」と考えている経営者が大半だ。

実は優れたビジョンを世に問うて成功したという経営者は少ない。市場規模の急拡大により、思いがけなく成功を手にしたケースの方が一般的だ。

基本的に一族経営がはびこり、経営層の資質はあまり高くない。最近では社長が逃亡するケースも増えている。あるネットニュースによると、2000年代には1億7000万人の雇用をかかえていた中国の紡績・服装業界だが、すでに1000万人以上が離職しているという。。5月1日には、かつて従業員1万人を誇った東莞厚宏制衣の社長が逃亡。5月22日には維斯凱服装の社長が逃亡し、従業員5000人が失職。7月31日は華東紡績工廠の社長が逃亡、こちらも従業員5000人が失職した。8月19日には福積紡績の社長が逃亡、従業員400人失職している。記事で紹介された8事例のうち、実に半分が社長逃亡である。無責任極まりない。


ゴーイングコンサーンという考え方がない

このような産業社会風土の中、どうやって労働者や市民の安全を守るのか。最大の障害は、企業の概念、あり方そのものにある。

日本社会のように、企業は社会の公器であり、ゴーイングコンサーン(継続企業)という考え方が存在しない。国営企業は党の、私企業は経営者一族の、“私器”にすぎない。優れたノウハウを積み重ねた老舗企業は、ほとんど存在していない。

このように企業のあり方そのものが問題なのである。従業員は、使い捨てであり、育てるという観念が薄い。当局が安全法制の整備にいくら注力しても効果は限定的なものでしかない。問題の根は深く、危険な生産現場の数々が近い将来、劇的に改善するような事態はいまのところ起こりそうにない。(ZUU online 編集部)

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