オーナー企業はキャッシュ・リッチ

自ら有力な成長事業へ投資する自信がなければ、村上ファンドが主張するように漫然と内部留保を積み上げることなく配当額を増やすべきだろうが、そうした潔い企業はあまり多くない。リスクをとろうとしない経営者が小金を貯め込んだ結果、2015年6月末には企業の現金・預金残高が過去10年で最高の243億円に達したとも言えるだろう。


配当課税・上場制度の改革も必要ではないか

もっとも、企業の現金・預金残高が増加している理由はそれだけではない。オーナーの資産運用方針を反映している節もある。本来企業には、株主から預かった資本を上手に活用し利益を上げ、さらに事業を拡大することが求められている。成長軌道を描けず漫然と現金・預金を貯め込む経営者や企業は「貯蓄から投資へ」の流れを阻害する要因でもある。そのような企業は、いずれ投資家から見放されても仕方がない。

上場企業の自浄作用を促すためには、オーナー一族の資産管理会社的な機能を果たさないようにすることも重要だ。一番筋の通った施策は、配当課税の廃止である。企業の法人税納付後の利益を原資とする配当金への課税は、二重に税を課していることになる。こうした矛盾を解消できれば(財務省は反対するだろうが)、配当性向を高める企業が増えるのではないだろうか。

また、上場企業の経営が特定個人の意向に強く左右されないように、議決権比率20%超の株式を保有する場合はTOB(株式公開買い付け)を行い非上場化することを義務付けるなど、株式の上場制度を根本的に見直すことも大切であろう。 (ZUU online 編集部)

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