日本生命が三井生命を買収した理由

ところで、今回の買収対象である三井生命は、「三井」とあるので、大手のように思われる人も多いと思うが、実際には、日本生命の10分の1程度の保険料収入しかない、いわゆる中小生保である。三井は、「三井住友銀行」や「三井住友海上」とあるように、住友系列との親和性が高い旧財閥系の保険会社である。本来であれば、業界4位の住友生命と合併することが順当なのだが、三井生命と住友生命とが合併しても、業界3位の明治安田生命には追いつかないうえ、三井生命はバブル期に高い予定利率で契約を締結しているため、長期にわたる低金利により逆ざやが生じており、住友生命側が三井生命との合併に消極的だった。

そしてこの逆ざや問題こそ、これまで三井生命が他のいかなる生保とも合併に至らなかった理由なのである。にもかかわらず今回、日本生命が三井生命の買収に動いたのはなぜか。その理由の一つとして、「業界1位」であることに逆ざや以上の価値がある、と判断したことが挙げられる。


業界1位のアドバンテージは絶大

金融商品というものは、現物があるわけではないので、信用がものいう世界である。かつて、日産生命、千代田生命、東京生命などの中小生保が破綻した経緯もあり、同じ料金なら大手が安心と思うのは自然な感情であろう。

そして、業界1位となれば、信用は絶大である。一般の消費者が各生保の内情や、生命保険の内容を詳細に理解することは難しく、よほどの事情がない限り、2位を選ぶ必然性はない。セールスレディーにとっても「うちは業界1位ですから安心してお入り頂けます」というトークは圧倒的なアドバンテージになる。だからこそ、日本生命は1位にこだわりをもつのである。 (ZUU online 編集部)

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