(写真=PIXTA)
2017年4月に予定される消費税増税を前に、負担軽減策として食料品などに軽減税率を適用するか否かの論議がさかんになっている。軽減税率導入にあたり、適正な仕入控除税額を計算するためにヨーロッパ型の「インボイス方式」を導入すべきであるという意見が多いが、インボイス導入は事業者にとって負担となり、商品の値上げにつながる可能性も指摘されている。インボイス導入の影響を検証してみたい。
消費税の二重、三重徴収を防ぐ
インボイスと聞けば、物品を送るときに税関への申告や検査などで必要となる書類を思い浮かべる人も多いだろう。だが、今話題となっているインボイスは消費税軽減税率に関わる書類を示す。
現在日本では消費税は消費者が負担し、課税事業者が納付する。その際、生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、預かった消費税額(仮受消費税)から支払った消費税額(仮払消費税)を控除する「多段階累積控除型」を用いている。これが「仕入税額控除」である。
この仕入税額控除を行うために現在「請求書等保存方式」が採用されている。「請求書等保存方式」は、帳簿の保存に加え、取引の相手方(第三者)が発行した請求書などの証拠書類の保存を要件に、控除額を一括して割り戻す。請求書などに適用税率・税額を記載することは義務付けられていない。