株価
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「買いにくい相場は高い」という格言がある。一般的には「株価が高いのは将来の業績や人気などを織り込んでいるためで、ただ単に高いというだけで敬遠してはいけない」という意味で知られている。正反対の「買いやすい相場は安い」とセットで用いられることも多い。ただし、実はこの格言は、全く違う意味で使われる場合もあるので注意が必要だ。


「買いにくい」の意味は2つある

ここでいう「買いにくい」とは、既に株価がある程度上昇している場合には、新たな買い注文を出すのが難しいという投資家の心理を指している。つまり、「買いにくい相場は高い」とは、株価が上がっているうちは心理的な抵抗があっても買っておくべきだ、という順張り投資の勧めという意味の格言となる。

ところが、全く別の意味で説明される場合もある。たとえば、中邑悟著の「わかりやすい・読みやすい・引きやすい株式用語1000辞典」(日本実業出版社)では、指値で買いの注文を出しても、思った通りに商いが成立せず、さらに指値を上げても買えないようなときは、相場に勢いがあり株価は上昇しやすい、という意味と解説されている。


指値で買えない相場は高い

「買いやすい相場は安い」についても、指値買いであっさり取引が成立するときは売り物が多く、その後は株価が下がることが多い、という意味で説明される。

ここでいう「買いにくい」「買いやすい」とは、投資家が指値で注文した時に簡単に約定するかどうか、という技術的な意味合いが濃い。以上のことをまとめると、「買いにくい相場は高い」とは、指値買いを出しても買えない場合は上昇する可能性が高いので、指値をやめて成り行き買いに切り換えた方が良いという意味となる。

ちなみに、検索エンジンで調べてみると「買いにくい」を投資家心理としてとらえた説明の方がどちらかといえば多い。ただし、指値注文が約定しやすいかどうかという技術的な話としてとらえた説明も、それなりに見つかる。どちらが意味として正しいか、学術的視点から探ることは可能だろうが、ここでは踏み込まない。歴史的に、どちらも長く使われており、「正解はこちら」と白黒を付けることには、あまり意味がないからだ。