新卒採用
(写真=PIXTA)

採用スケジュールが大幅に後ろ倒しされた2016年卒新卒採用活動の総括では、7割の企業が「大変になった」と回答し、「楽になった」という企業は皆無に等しかった。では2016年卒新卒採用を踏まえて、2017年新卒採用でどのような施策が必要と企業は考えているのだろうか。その施策をレポートする。

0925総研


学生とのダイレクトな接触を重視

2017年卒新卒採用で重要になる施策を問うたところ、もっとも多いのは「学内企業セミナー」(49%)であり半数に近い。「自社セミナー・説明会」(41%)が続き、ともに4割台だ。学生とのダイレクトな接触を重視していることがわかる。ただし

3割台は「キャリアセンターとの関係強化」(34%)、「インターンシップ」(33%)、「就職ナビ」(31%)の3施策であり、「理系研究室訪問」(23%)が2割台だ。ただしメーカー系では「理系研究室訪問」は40%を占めている。


低下する「就職ナビ」の重要性

これらの重要施策を見て気づくのは「就職ナビ」の重要性が低下していることだ。「就職ナビ主催の合同企業セミナー」も15%と低い。

依然として新卒採用では就職ナビは必須のメディアだが、就職ナビだけでは足りないことが人事に認識されている。足りないのは大学と学生との関係である。キャリアセンターや理系研究室を重視し、学生との接触するインターンシップ、セミナーを実施して足りないものを補おうとしているのだ。


大企業で目立つ「リクルーター(OB・OG)の活用」

「リクルーター(OB・OG)の活用」は全体の18%が重視している。ただし規模別での違いが大きく、「1001名以上」では25%が重視しているが、「301名~1000名」や「300名以下」では17%にとどまっている。

人的資産に恵まれている大企業はリクルーターを動員できるが、中堅中小ではリクルーターの強化がむずかしいからだろう。


重要性の低い採用ツール(ホームページ、入社案内)

採用ツール類の重要性も低い。「自社採用ホームページ」(18%)、「入社案内」(8%)、「facebook採用ホームページ」(4%)とポイントは少ない。すでに採用ホームページも入社案内も持っているからだろうが、ホームページや紙メディアの質を上げることがいい採用につながるわけではないという認識のように見える。

かつて就職ナビと採用ホームページ、入社案内が定番の採用ツールだったが、いずれも凋落しているように見える。

といって新興のソーシャルメディアが評価されているわけではない。外資系の採用ではソーシャルメデイアは有効だと聞くが、国内企業が典型的な日本人学生を採用する有効な手段として認識されていない。


「採用基準」から「志望意欲」へのシフト

2017年卒採用への取り組みについてのコメントを読むと、「さらに積極的」「より充実させる」「もっと拡大」「より密に」という「今まで以上に」という意味の副詞が目立つ。そして説明会や事前接触を強化するという趣旨のコメントが目立つ。

興味深いと思ったのは「採用基準を取りたい学生様でなく、弊社就職を第一に考えている学生様にウエートをシフトすると思います」というコメントだ。これまでの採用では「基準」が重視されていたが、この人事は「志望意欲」へのシフトを明確にしている。これは新しい潮流だと思う。(記事提供= 経営プロ )

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