「マイナンバー導入によって知られたくない情報を国に知られるのではないか」と不安視する人は多いかもしれない。そんな中マイナンバーが導入されると副業がバレやすくなる、とも言われるがそれは本当だろうか。結論を先に言うと「本業の会社にバレるか否かは今までと変わらないが、税務署にはバレやすくなる」。それはなぜだろうか。
これまで副業がバレなかった理由①住民税徴収の仕組み
給与所得以外の所得(副業の所得)が年間20万円を超える人や、副業の所得は20万円以下でも2社以上の会社から給与所得を受けている人は、翌年3月15日までに確定申告をしなければならない。この確定申告書の最後のほうに、「住民税の徴収方法」という欄があり、「特別徴収(給与から差引き)」「普通徴収(自分で納付)」のいずれかにチェックをつけるようになっている。
確定申告書で普通徴収を選べば、副業分については自宅に納付書が届き、自分で納税することになる。本業の勤務先の会社はその会社で支払った給与の分についてだけの住民税の納付書を手にしているので少なくとも納付書からは副業の存在についてまでは知りようがない。このため、本業の企業にバレることなく副業を行うことができたのである。
これまで副業がバレなかった理由②そもそも確定申告をしていない
このケースはかなり多いだろう。①で述べた通り、複数の給与所得がある場合や、給与所得以外の所得の合計が20万円を超える場合には、確定申告をしなくてはならないと所得税法上定められている。しかし、副業が本業の勤務先の会社にバレるのが怖くて確定申告をしない人が少なくない。
「本当は確定申告しなければいけないのは知っているけど、してなくてもこれまでバレてないし平気平気」と思っているならば、それは要注意だ。副業の会社は、年末調整の段階で「源泉徴収票」や「支払調書」を税務署に送っている。これは、個人に対して支払った原稿料や報酬についての報告書で、税務署は確定申告書をこれと照合して正確性や提出漏れをチェックしているのだ。通常、副業があることで納付すべき税額が存在するのに無申告ならば、税務署から連絡が来るものだ。
もし、無申告にもかかわらずこれまで何もなかったとしたら、それは税務署にとって徴収すべき税金がなかったか、運がよかったかのどちらかだと思っておいたほうがよいだろう。