①納税する能力がありそうな会社=利益が出ている会社
税金を負担できる会社とは、ずばり「大きな利益が出ている会社」である。十分な利益が出ていなければ税金を納付することはできない。課税所得がマイナスである場合は、申告に誤りがあったところで課税はされない(繰越欠損金が減り、翌期以降の税額が増える可能性はある)。利益が出ていても事業規模が小さければ大きく課税することはできない。
では、利益が十分に出ていない会社や規模が小さい会社は税務調査が全く入らないのかというとそうではない。あくまで「入りにくい」だけであって、年商1億円に満たない会社の税務調査に立ち会ったこともある(立会は1日~2日で終わることが多い)。また、大きな利益が出ていた会社が突然赤字になると怪しまれたり、課税所得とは関係ない消費税や源泉所得税などが対象になったりするため、絶対的な基準ではない点に注意が必要である。
②疑わしい会社6例
疑わしい会社とは例えば以下のような会社を指す。
- 売上高が大きく伸びている
売上が急に伸びれば種々の取引量も増え、ミスや恣意性が増えると推測される。 - 利益率が大きく変動している
同等の事業を行っているのに利益率が急変するのは、恣意的な取引や利益調整を連想させる。 - 利益率が業界平均より極端に低い
売上高を計上していなかったり余計な経費を計上したりしていると、利益率は平均より悪化する。低い利益率の会社は、それらを疑われる。 - 以前の税務調査で指摘が多い
以前の税務調査記録は保存され、以後の税務調査時に利用される。印象が悪かった場合や大きな不正があった場合などは、3年経過後、すぐに憂き目を見る可能性が高い。 - 不正が多い業界に属している
2013年度の不正発覚割合の1位はバーやクラブ、2位は外国飲食、3位はその他飲食、と飲食系が多い。ほか、5位対個人サービスや7位の自動車修理、9位土木工事という順位になっている。 - 決算書上に突然多額の特殊項目が出ている
多額の退職金や貸倒損失など、今までなかった項目が決算書に出てくると、その内容確認のための調査をされる可能性がある。
上記で見た以外でも、特殊な例として下記も参考にするとよい。
- 法人設立後3年が経過した会社
- 法人税を還付請求した会社
- 無申告の会社
通常の税務調査対象期間は3年なので、法人設立から3年を経過すると税務調査が入ることがある。また、税務申告をしていない会社について、国税庁は「納税者の公平感を著しく損なうもので(中略)重点的に取り組んでいます」とコメントしている。