サービス産業の統計には特定サービス産業動態統計調査、いわゆる「特サビ」がある。これにより、ゲームソフトを含む情報サービス、フィットネスクラブ、遊園地・テーマパーク、学習塾など19業種の月次売上高を見ることができる。
これとは別に、サービス産業動向調査は日本のGDPの7割を占めるサービス業の全体像を把握する目的で2008年から公表を始めたもので、対象業種が多く、ディフュージョン・インデックス(DI)も集計しているため、各業種の景況感も同時に把握できる。
デパートやコンビニ、スーパーマーケットなどの小売統計はそれぞれの業界が月次売上高を公表している。三鬼商事が毎月発表するオフィス空室率と賃料のデータは建設・不動産業の景況感を見るうえで役立つだけでなく、企業全般のセンチメントを測るのに貴重なデータだ。
サービス産業の動向を見極めるには、業界統計も大事だが、とくに一般消費者向けサービスではその支出の元手となる賃金の動きが先行指標になる。最近、安倍政権や日銀が企業に賃上げを強く働きかけているが、国内消費が盛り上がらないのは賃上げが不十分とみているからだ。勤労世帯の収入を月次で集計する家計調査や毎月勤労統計調査でそれなりの賃金上昇が定着したと確認できれば消費関連株の支援材料になる。
また消費者の先行きの購買姿勢を探るには、半年先の「暮らし向き」や「収入の 増え方」などをアンケート調査する消費者態度指数や、消費者密着型の自営業者などの景況感を尋ねる街角景気(景気ウォッチャー調査)が有効だ。
株式投資は間違えさがし
時折、「株価は間違えない」という声を耳にするが、「株価はしょっちゅう間違える」。株価はその時点で予見できる全ての情報を反映するのかも知れないが、その予見がはずれてしまうと結果的に株価が間違うことになる。
株式市場の伝統的な条件反射、例えば金利上昇=株安などもよく吟味したほうがよい。金利が上がるということはそれだけ経済が強い、すなわち需要全般が好調であることを意味する。かつては企業の金利負担が増え、業績にマイナスに働いたが、今や先進諸国の企業部門にはキャッシュがあふれており、むしろその運用益が業績に貢献する状況だ。金利と株価が逆相関するという直感は少なくとも現在は当たらない。
対岸の火事は買い、といった相場の格言も、各国経済が相互依存を一層強めた現状に当てはまるとは限らない。利上げ先ズレ観測で米国株が上昇すると日本株もそれにつれて上がるというのもおかしな話だ。米国の金利上昇はドル高・円安要因で、それが遅れると、米国景気がそれほど強くないということも含め、日本の輸出企業の業績にマイナスに働くからだ。
業績が好調なのに株価が不当に安いからその銘柄を買う、あるいは成長見通しの割に株価が高すぎるから売る、という投資行動は、株価の間違えを探していることにほかならない。
株価が間違えたときは大きな投資リターンをあげる絶好のチャンスである。そのためにも個別業種・企業の業績変動を自分なりの軸や尺度で見極められるようにしておきたい。このような姿勢で株式投資に臨めば投資妙味も増すことだろう。(ZUU online 編集部)
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