「過去20年間、広告主の声が強すぎたのではないか」

——今回のセッションでどのようなことを主張したのか。

私が見るところでは、ニュースがネットに出るときに、広告がどのような形で表示されるかについて、過去20年間、広告主の声が強すぎたのではないかと思っている。その結果、一時は、情報の閲読に集中できないほどの、邪魔になるような広告がたくさん出てしまった。

出版社側がもっと中心になるべきだ。消費者団体やウェブの開発者と協力しながら、ネット広告の基準を作るべきではないか。どんなネット広告が可能で、どういう形が最も視聴者に受け入られるのかを共に決めてゆくべきだ。この基準に合わないものは消えてもらい、新たなネット広告の形を作ってゆきたい。

——広告をブロックする人が増えすぎれば、広告を収入源の大きな柱とする出版社側には大きな打撃だ。出版社側は現状にどのように対処するべきか。

まず自社サイトでどれぐらいの広告がブロックされているのかを知るべきだ。非常に被害が少ない場合もあれば、半分の広告がブロックされている場合もある。ページフェアのウェブサイトでは、無料で被害状況を分析することができる。

次にネット広告とはどういう形であるべきかを規定するために、行動を起こすことだ。広告会社の言いなりになってはいけない。

* * *

ライアン氏に話を聞いた後で、メッセ内にいる出版関係者の数人に広告ブロックの影響や今後について感想を聞いてみると、あるWAN-IFRA関係者は「広告ブロックは深刻な悩みの種だ」という。実際に、多くの大手ニュース媒体がアンチ広告ブロックの立場を明確にしている。

一方、「騒がれているが、実はそれほど大きな問題ではないかもしれない。来年のエキスポ開催時には話題にすらなっていないかもしれない」(印刷業関係者)との声もある。理由は「ネット広告は洗練されてきており、邪魔と考える人は必ずしも多くはないのではないか」というものだ。

広告ブロックが今後さらに増えるようだと、「有料の壁」つまり、有料でネットコンテンツを販売する方向に出版社側は力を入れざるを得なくなりそうだ。 (ZUU online 編集部)

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