(写真=PIXTA)
年末調整や確定申告において、課税所得を計算する上で必ず加味されるのが「所得控除」だ。次の税制改正では、この所得控除についての見直しが検討されている。なぜ、見直しが必要なのだろうか。所得控除の内容をおさらいした上で考えてみよう。
所得控除=人的控除
所得控除とは、「配偶者や子どもがいる」「障害を持っている」「多額の医療費を払っている」といった個々人の諸事情を考慮した上で課税金額を算定するための調整項目である。所得税法上、所得は収入から経費(給与所得の場合は給与所得控除という名前の“サラリーマン特別経費”)が控除されたものを指す。「所得≒利益」と考えれば分かりやすいだろう。本来なら、これに税率を乗じて税額を計算するべきところだが、人によって抱える事情は様々なのが現実である。それを無視した税額計算は酷であるという考えから、所得控除欄が設けられている。
では、どのような所得控除が存在するのだろうか。ケース別に考えてみよう。
すべての人に当てはまる控除…基礎控除
基礎控除は、所得税を課税される人全員に適用されるものだ。所得からこの基礎控除38万円を差し引いてゼロあるいはマイナスになると、所得額はゼロとみなされ、税額もゼロとなる。
なお、よく妻がパートに出る場合の「103万円の壁」という言葉を耳にする。これは、「給与所得控除(いわゆる“サラリーマン経費”)最低額65万円+基礎控除38万円=103万円」であるがゆえだ。つまり、103万円以下なら所得税額が0円になり、配偶者控除の範囲内にとどまれるため、パート主婦の間での目安となっていたのである。
所帯持ちのサラリーマンに多い控除…配偶者控除と扶養控除
今でこそ夫婦共働き世帯が増え、適用対象となる人が減ってきたが、まだまだ対象者が多いのが「配偶者控除」。これは、配偶者が専業主婦である場合、あるいはパートに出ていても収入が103万円以下の場合に適用される。なお、配偶者は男性でもよい。最近は、妻の方が夫よりも所得が高いケースや、夫が育児と家事担当になるケースもあるので、「専業主夫」がいる家庭の妻がこの適用を受けることも少なくないだろう。
扶養控除とは、家庭内に16歳以上23歳未満の子どもがいる場合に適用される。イメージとしては「教育費のかかる高校生や大学生を養っているなら扶養控除の適用がある」という具合だ。ただし、その扶養控除の対象となる子が年間38万円以上の合計所得を稼いでいるときは控除の適用は受けられない。