資源国、新興国の通貨危機もあり得る

上述のバーナンキショックの際にも実際に主要国の株価は急落した。直接的には関係はないはずの日経平均株価も13年5月23日には前日比1143円安と急落している。次の利上げが株式市場にどれだけのインパクトをもたらすかは予想できない。すでにかなりの部分は織り込まれたと考える投資家もいる。しかし、程度の差こそあれ、利上げは真っ先に株式市場や為替市場を直撃することとなるだろう。

新興国経済も大きなダメージを受けるだろう。新興国の社債発行額は04年の670億ドル程度に対して14年には約3200億ドルと大きく増えていると言われる。問題はそれらの債券の3割から4割程度はドル建てを中心とした外貨建であると思われることだ。米国利上げは米ドル高をもたらす。その結果、新興国のドル建債務は増加することになる。

投資資金はすでに新興国から先進国へと逆流し始めている。資金流出懸念がさらに顕著となれば、経済構造が脆弱(ぜいじゃく)な新興国通貨はさらに売られやすくなるだろう。最悪の場合、資源国や新興国の通貨危機もあり得るだろう。

最後に金融緩和の申し子とも言えるヘッジファンドの動向がマーケットを大きく動かす可能性に注意する必要がある。限りなくコストがゼロに近い資金を調達できたからこそ、ヘッジファンドがマーケットで存在感を示すことができた。2兆ドルを超えるともいわれるこうした投機資金が収縮に向かえば、市場が大きく動揺することも考えられる。


過去の利上げで相場はどう動いたか

過去米国では1987年9月、94年2月、99年6月、2004年6月に利上げが行われた。この米国利上げと日本の金融緩和で必ずしもドル高・円安にはならなかった。また日米の株価は、米国利上げ前に上昇し、利上げ後に下落するという傾向にあった。米国金利の引き上げをめぐりさまざまな予想が行われているが、これが結論だ。

金融政策は、株価や為替に大きな影響を与える極めて重要な材料であることは否定できない。しかし、それだけで相場の方向性が決まるものではないのだ。相場は多くの市場参加者の思惑が交錯する中で方向性が形成される。市場参加者の判断に影響を与える材料は必ずしも金融政策だけではない。とりわけ今度の利上げについては早くから取り沙汰されており、多くの市場参加者はそれを織り込みつつある。それよりも、予期せぬ材料が急浮上した場合にこそ、金融政策を上回るインパクトがマーケットに及ぶと考えられる。 (ZUU online 編集部)

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