TPP

(写真=Thinkstock/Getty Images)

TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意が伝えられた10月5日、株式市場では農業関連や食品、自動車関連株の一角が大幅続伸した。TPP関連銘柄が格好の物色材料となった。半面、同じ関連銘柄でもTPPにより業績が悪化すると見られた銘柄は反落した。

以下では、TPP関連によってプラスの影響・マイナスの影響の両面から注目すべき企業を紹介する。

喜ぶ5つの企業

ニチレイ <2871>

消費者には冷凍食品でなじみ深い同社はTPPで喜ぶ企業のひとつである。同社は2015年3月期の決算では総売上高が5453億円ほどで、そのうち加工食品部門が約2200億円と最も高い売上比率となっている企業だ。

しかし、冷蔵品の保管・流通加工サービスを提供している低温物流事業での売上高は約1800億円と加工食品部門に次ぐ規模となっており、この低温物流では国内トップシェアを持っているため、この部門の売り上げ動向にも注意が必要となる。

TPPでは関税引き下げの影響によって輸入品が増加し、保管や物流のニーズが高まることになるため、国内トップの同社はその需要増の恩恵を最も受けることができるはずである。また、北米においても2012年にウォルマートなどを主要顧客に持つイノバジアン・クイジーン社を買収していることから、北米事業からもTPPの恩恵を受けられる可能性は高い。

サカタのタネ <1377>

種苗分野での国内シェアトップのサカタのタネにとってTPPは喜びのタネとなりそうだ。TPPによって、種苗の輸出促進や政府が推進する国内農業の国際競争力強化の動きなどによって、種苗への需要が高まることが予想される。

サカタのタネは、色や形、味などの品質が安定しやすい「F1種子」という異なる遺伝形質を交配させた種子を販売しており、国内75%のシェアをもつブロッコリーをはじめとしてトマトでも約40%のシェアをもつなど、幅広い品種で高い競争力を持っている。国内需要が伸びれば、トップ企業の売上が最も伸びやすいため、同社はTPPの恩恵を受ける可能性が高い企業だと言える。

クボタ <6326>

日本政府が農業及び水産業の国際競争力を強化する方針を決定していることや、安価な輸入農産品が国内市場にこれまで以上に入ってくることが予想されることから、経営体力のある大規模農家や農業に参入している大企業への耕地集約化が進むと予想されている。そのため、大規模な耕地での農業には欠かせない農業機械への需要も高まることが予想される。

クボタは2015年3月期決算において北米でのトラクター販売が好調だったことから過去最高の最終利益を更新している。そのため、TPPによって北米で生産される安い農産品が輸出されやすくなり、北米地域の農家の景気が良くなれば、同社の北米でのトラクター販売もますます上向くと思われる。こうしたことから、TPPの進展は農業機械大手である同社の業績を高めることになるはずである。

大同メタル <7245>

同社は、世界で唯一の「総合すべり軸受メーカー」で、自動車用エンジン用軸受と船用低速エンジン用軸受の分野において世界トップシェアを獲得している企業である。TPPでは自動車部品の99.9%の関税を撤廃することになるとみられている。

そのため、軸受世界トップシェアの同社は軸受企業の中でも最もTPPの恩恵を受ける企業であり、かつ自動車用軸受の売上高が総売上高の65%を占めていることから同社の業績全体に与えるTPPの影響は小さくはないはずである。また、船用軸受の売上高は、同社の総売上高に対して14%と大きくないものの、世界トップシェアという強い地位を獲得しているため、関税が撤廃されることで輸出入が活発化し、造船業が好況になれば、同社の業績を押し上げるはずである。

いすゞ自動車 <7202>

TPPの恩恵を受けるとされている自動車業界の中でも特に注目すべきなのがいすゞ自動車である。米国の乗用車への関税は2.5%であるのに対して、トラックといった商用車への関税は25%と高い水準にある。

そのため、TPPによってこの関税が撤廃されればトラック業界は大きな恩恵を受けることになる。国内のトラック市場ではいすゞ自動車と日野自動車の2社で約60%のシェアを獲得しているが、国内の普通トラック市場でのシェア1位であり、かつ2014年度において北米地域への売上高を前年度比で36.3%増加させ好調のいすゞ自動車は日野自動車よりも大きな恩恵を受けられるはずである。