クレディ・スイスによる『グローバル・ウェルス・レポート2015』から、「人口のわずか1%が世界総資産の半分を所有している」という驚きの事実が判明した。これに対して最低所得層が所有している世界総資産は1%にも満たないという。過去15年間データ収集を継続しているクレディ・スイスのリサーチャーは、「これほどまでに世界の富が偏る傾向はここ1世紀見られなかった」というコメントを残している。

人口の70%が資産120万円以下

調査によると人口の70%(34億人)は1万ドル(約120万円)以下、20%(10億人)は1万ドルから10万ドル(約120万から1200万円)の資産を所有。それ以上を所有しているのは残りの8%(3億8300人)で、そのうち12万人が5000万ドル(約59億7900万円)以上、4万5000人が1億ドル(約119億5800万円)以上という結果だ。

2008年から成長傾向にある高所得層だが、今回の調査結果を今年初旬に予想していた国際協力団体オックスファームのマーク・ゴールドリングCEOは、「貧富の格差は私の予想よりも1年早く進行している。先日各国の首脳が格差の軽減を目標に掲げたばかりだが、より速やかな対応が求められている」と、格差問題がコントロール不可能な段階まで悪化していることを指摘。特に米国の経済市場が長期間にわたり上昇相場であることが要因として挙げられており、何らかの対策が早急に投じられないかぎり、今後もこうした傾向は長引くと予想されている。

英は「大富豪」が7万人減少 米は15万人増加

昨年の調査結果で「今世紀に入って貧富の格差が開いた唯一の国」として報告された英国では、2000年から低所得層とそのほかの層の差が目立ってきている。そのため米国と中国同様、昨年よりも1家庭の平均所得は伸びを記録したが、世界中間所得層ランキングでは4位という位置づけにあり、高所得層と低所得層の格差は昨年より13%減、成人1人あたりの平均資産額は13万ドルという結果に。

また「大富豪」と呼ばれる階級が昨年から9万人増加し1500万人を超えている米国とは異なり、7万人近く減少して240万人になっている。ドイツにおいても5000万ドル層が増加傾向にあることが判明した。

米を上回る中国の中間所得層の増加

平均所得額が増加がするにつれ、中国では中間所得層が増加しており(1億900万人)、米国(9200人)を大きく上まわる統計が出ている。クレディ・スイスのティージャン・ティアムCEOは、「高所得級層よりも成長速度は遅い」と前置きしたうえで、「この数字は経済の失速が中国における中間所得層の維持には影響していないことを証明している」と語った。

経済混乱まっただ中の新興国だが、国際資産の成長に大きく貢献していることには変わりなく、中国の総資産は今世紀初頭と比較して5倍増。1兆5000億ドル(約179兆 3700億円)のプラスを記録している。対するドルは250兆1000億(約2京9906兆9580億円)、欧州は10兆7000億ドル(約1279兆 5060億円)に減少した。(ZUU online 編集部)