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フィデリティ・ラボのサイトでは多数のアプリ、サービスが紹介されている。(写真=HPより)

Googleグラスでロゴ認識、株価やニュースを呼び出せる

フィデリティ・ラボが大切にしている考え方は、既存の業務を一変させる革新的な「破壊的なテーマ」、顧客ニーズに深くフォーカスした「デザイン思考」、繰り返し試み、学びを加速する「リーン・スタートアップ」、迅速に開発して現場に投入する「アジャイルディベロップメント」という。いま特に注目している分野が「ビットコイン・ブロックチェーン」、ロボットアドバイザーなどを含む「デジタルガイダンス」、「ゲーミフィケーション」「オープンソース」などだ。

たとえばロボアドは昨今ホットなテーマとなりつつあるが、フィデリティでも、より高度なアドバイスを低いコストでできるよう開発に取り組んでいる。同様に注目の分野である「拡張現実」についても、ユニークなサービスを開発している。Googleグラスを通して企業ロゴを見ると、その企業を認識し、音声で「ニュース」「株価」などを呼び出し、さらには売買までできる仕組みを研究しているという「ストック・シティー・フォー・オキュラスリフト」だ。たとえば「give me news on this stock(この銘柄についてのニュースが読みたい)」といえば、グラスに情報が映し出されるのだという。

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ストック・シティー・フォー・オキュラスリフト

このほかにも企業の従業員向けに、ストレスモニターのパイロット版を開発。ウェアラブルデバイスを着用しておくと、ストレスを感じるとバイブレーションで分かるという。たとえば社内でどういう会議に出たり、誰と話したりしたときにストレスが高まるかが分かるので、従業員のメンタルケア対策に有用だという。

さまざまなゲームを用意している理由

「ゲーミフィケーション」とは、ゲーム以外の物事に、ゲームの要素を取り入れることで、ハマり、続けられる仕組みをつくることだ。毎日つい同じスマホアプリを開いてしまうといった人は、アプリ開発者が取り入れたゲーミフィケーションの仕掛けにハマっている可能性が高い。

たとえばある場所にチェックインすればバッジがもらえる、ランキングで自分の順位が分かる、知人や競争相手がまさに今何をしているか分かるといった仕掛けが例だ。

フィデリティ・ラボでは、ゲーミフィケーションの仕組みを取り入れたアプリや、またゲームそのものも含めて、複数のサービスを用意している。たとえば「マイ・シミュレーテッド・ライフ」というツールは、DC加入者に自身の資産がどう推移するか、そのシナリオ、可能性を示唆するという。

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マイ・シミュレーテッド・ライフ

ほかにも小中学生を対象にした学びを促すゲーム「エスケープ・フロム・プラネット・ノバック」、投資初心者を対象に、投資全般への理解を促すための教育ツール「ビート・ザ・ベンチマーク」、退職後の生活に向けた資産形成のゲーミフィケーションアプリ「フューチャー・プルーフ」などがある。

なぜこれだけ複数のアプリ、ゲームを開発するのかについて、ピッケルフォート氏は「置かれている状況や知識は個人で異なるため、誰にでもマッチするゲームはありません。それがゲームのポートフォリオを充実させている理由です。特にフィデリティは、米国では1300万人のDC加入者の記録管理をしていますが、その人種や年代は多種多様です」と話す。

こうしたサービスや技術は、ファイナンスやテクノロジー理解してない層、投資になじみがないという人向けにしているため、「『ストックシティー〜』の例ですが、投資に詳しい人はチャートがないとか、簡略化しすぎとの批判もあったんです」と明かす。