日生が住生の取り込みに動く?

住生が合併を躊躇したもうひとつの理由は、日生のように子会社化ができないこともネックとなったようだ。

日生は、今回、合併でなく、傘下に収める経営統合を選んだ。だが、仮に住生との統合となれば、あくまでも「三井住友生命」の誕生が前提。合併となれば、明治安田生命のように、明治生命、安田生命がそれぞれ販売した保険商品のシステムを維持しつつ、新しいシステムを構築しなければならない。3つのシステムを維持管理するには、相当な費用が必要だ。中でも、三井生命のシステムは「他生保よりもきめ細かい設計」(大手生保関係者)だといわれている。

というのも、経営危機に陥って管理部門のリストラに踏み切った際、本部と現場を直接つなぐため、システムでのバックアップ体制を強化したからだ。その分、システムの維持管理費は高めである。

ただ、こうした中でも、ささやかれるのが、日生による住生の取り込みだ。住生は、9月から就業不能保険に大手では初めて参入を果たした。主力の死亡保障も含め、商品開発力に定評がある住生は、かつて第一生命保険も合併をもくろんだほどだ。

日生の筒井社長は会見で、「国内市場は世界と比べても良質なマーケット。そこで圧倒的な基盤をつくる。フィロソフィー(哲学)や戦略、ビジョンがマッチすれば今後も可能性を模索したい」と述べた。日生が傘下に「三井住友生命」の誕生を既に描いていても不思議はない。

三井生命を取り込んだ日生の次の動きが注目される。

(この記事は10月6日号「 経済界 」に掲載されたものです。)

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