直近のIPOの傾向を見てみよう

さて、気になる日本郵政3社株はどんな値動きになるでしょうか?  個人投資家でも簡単に手に入る公開データで予想してみましょう。

まずは直近のIPOから公募価格と初日の株価はどのような展開となっているかを見ていきます。このところのIPOではETFやリート、東証マザーズ銘柄が多く、いきなり東証1部上場となったケースは少ないのですが、下記の2社を例に見てみましょう。

【テクノプロ・ホールディングス<6028>】 2014年12月15日 人材派遣業
公募売出価格1950円 に対し、初値1852円と冴えませんでした。しかし、その後の株価展開は約3ヶ月半後に3670円をつけ、途中、利益確定相場をへて4ヵ月半後には3975円となり、2015年10月下旬時点で3000円前後と展開しています。

【デクセリアルズ<4980>】 2015/07/29  光学材料、電子材料、接合材料等の製造・販売
公募売出価格1600円 、初値1550円と公募価格割れでスタートしました。その日の高値には1609円があり、約半月後には1681円、さらに1ヵ月後には1790円へと展開しました。ちなみに2015年10月下旬は1400円前後になっています。予定配当55円は株価1447円換算で3%に相当しますので、配当の安定性は見極めなければならないものの、今後、一定の需要はあるのではないかと思います。


日本郵政3社の妥当株価はどれくらい?

この東証1部上場2例を参考に日本郵政3社株の展開を検討してみると、東証マザーズ上場例のような公募売出価格に対し、いきなり大きく乖離した初値で始まることは考えにくいものの、話題性のある有名企業でもあり、公募価格を下回る初値で始まることは考えにくいといえるでしょう。

値上がりするかどうかに関しては、概ね3ヶ月半程度の期間内にある程度の投資成果は上げられる可能性は高いと思います。

では、いくらくらいの値段が値上がり目安となるでしょうか。目論見書などで公開された3社のデータから推定してみましょう。

【ゆうちょ銀行<7182>】
一株当たり純利益が2014年3月期で89.58円と公表されています。
メガバンクはほぼホールデング化されていますので、単独の銀行を会社規模等を一切考慮せず、単純にPER算定の倍率を求めてみます。

横浜銀行<8332>・・・2014年3月期一株純利益45.28円。2016年3月予想で55.02円です。予想PERは768.7円に対し、13.9倍です。

静岡銀行<8355>・・・2014年3月期67.83円、2016年3月期66.15円です。予想PERは1228円に対し18.56倍です。

これらの数字から、ゆうちょ銀行の2014年3月期89.58円を用いて横浜銀行の倍率例で計算すると1245.16円、静岡銀行例なら1662.60円ということになります。

ゆうちょ銀行の2016年3月期の一株純利益の数字によってはこの値は増減しますし、人気先行となれば予想一株利益の20倍以上買われる可能性もあるので、20倍コースなら1800円前後、25倍コースなら2240円という株価もあり得るかもしれません。妥当株価水準は一株純利益の数字次第で変動しますから、今後の事業展開計画をよく吟味したいですね。


かんぽ生命保険のプレミアムは未知数

ではかんぽ生命保険はどうでしょうか?

【かんぽ生命保険<7182>】
2015年3月末の一株純利益135.54円です。
同社は世界一の資産を持つ巨大生命保険会社で、他社と単純比較するのは難しいのですが、業界大手の第一生命保険との比較で見てみましょう。

第一生命保険<8750>の場合・・・・2015年3月期の単体133.46円、連結124.94円、2016年3月期予想の単体99.33円、連結134.38円で予想PERは株価2081.5円で単体20.95倍、連結で15.48倍です。

かんぽ生命の一株純利益に単純にこの倍率を当てはめると2098~2839.56円になります。
かんぽ生命保険は「日本郵政の大株主である財務大臣(政府)の持ち株比率が低下しない限り、民業圧迫の恐れがある」とアメリカからの強い指摘によって他の保険会社では取り扱われている保険を取り扱えていない現状があります。株式上場を機にこの方針は転換できる可能性がありますから、利益幅も変動するでしょう。

同社は世界一規模の生命保険会社で外国人投資家にも魅力の大きな存在です。そのプレミアムがどれくらいつくかは未知数です。時価総額が大きな会社は国内外の投信の買い対象に組み入れられますので、その点も考慮したいですね。


外国人投資家にも魅力的な日本郵政

さて、最後に日本郵政を見てみましょう。

【日本郵政<6178>】
ゆうちょ銀行、かんぽ生命、日本郵便等を傘下にする経営管理事業会社です。一株純利益は2015年3月期で107.16円です。ここでは三井住友FGと三菱UFJとの比較で見てみましょう。

三井住友FG<8316>・・・2015年3月期の単体一株純利益は344.64円、2016年3月期の連結予想一株純利益は537.46円です。2015年10月下旬の株価4801円に対して、上記予想連結一株純利益で計算すると8.37倍です。

三菱UFJ<8306>・・・2015年3月期単体一株純利益は39.19円、2016年3月期連結予想一株純利益は67.04円です。2015年10月下旬株価769.5円で予想連結PERは11.47倍です。

上記2社の倍率を単純に日本郵政に当てはめると896.92~1229.12円になります。ただし、現在発表済みの日本郵政の一株純利益は連結会社の上場で大きく変わる可能性があります。

また、系列2社同様時価総額の大きさから国内外投信の買い組み入れ対象になるのはほぼ間違いなく、外国人投資家からみても魅力的な会社になると思いますのでそのプレミアムも勘案したいところですね。

いずれにしても3回ある政府持ち株の放出の初回であることから、最初から投資家をがっかりさせることのないよう、しっかりと展開してもらいたいものです。

値上がり期待期間と株価を参考にご自身の投資計画を立ててみてくださいね。

【著者略歴】木村佳子(きむら・よしこ)
NPO法人日本IRプランナーズ協会理事。日本チャート分析家協会、一般社団法人くらしとしごと生活者フォーラム代表理事。一級FP技能士(国家資格)。日本ファイナンシャルプランナーズ協会CFP。2013年4月より東証アカデミー、フェロー。個人の生活経済、金融リテラシー、ストラテジーをテーマに民間企業や金融機関、新聞社、自治体、各種商工団体等の主催するセミナー等での基調講演を務める。公的面では各省庁の審議会委員、専門委員などを務める。

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