(写真=PIXTA)
コンサルティング会社が発表した「2014年グローバル年金指数ランキング」によると、日本の年金ランクは25カ国中23位にとどまり、中国の21位を下回ったが、これにはカラクリがある。
中国の公務員年金は年金ではない
日本では10月1日より、公務員の共済年金とサラリーマンの厚生年金が一元化されることになった。保険料率が低く、給付が手厚かった共済年金を厚生年金に統合することで、被雇用者の「官民格差」を是正する。日本はようやく懸案処理に道筋を付けた日本だが、なぜランキングでは中国のほうが上なのだろうか。
実は中国のデータには公務員年金が入っていないのだ。公的年金A「城鎮企業工基本養老保険」、B「都市住民社会養老保険」、C「新型農村社会養老保険」を主なデータとしている。「年金双軌制」といわれ、中国の公務員年金「機関事業者単位養老保険」は、社会保険のカテゴリーに入らない。
とても日本のように統一できるようなレベルの差ではなく、公務員OBは今でも極めて高い給付を受け続けている。他にも差異は多く、これらの要素を加味すると、日中の年金ランクはどうなるだろうか。
公務員年金が社会保険ではない理由 その受給の実態
公務員年金が社会保険ではない理由は、本人の保険料負担がないからだ。退職金を毎月受け取れると見たほうがよい。すべて政府の財政支出に依っている。
その実態について、ある受給者に聞いてみた。沿海部に住む73歳の婦人である。彼女は「二軽局五金公司」という鋸などの生産工場に16歳から50歳の定年まで35年間働いた。集体企業とのことだが、名前から察すると軽工業行政の営利部門と思われ、公務員とみて差し支えないだろう。退職したのは1992年。当初の受給額は月700元程度だった。それが毎年少しずつアップし、2015年は2800元になっている。
省の最低賃金をみると、1994年は170元、2015年は1600元である。労働市場のはるかに上の水準だ。2003年に亡くなった彼女の夫はやはり同じような形態の「港務局造船廠」に勤め、男性は60歳定年であるもかかわらず、1990年、50歳のとき早期退職した。
そして妻の1.5倍以上の年金を受給しつつ、船修理の請負アルバイトで稼いでいた。労働者階級とはいえ公務員天国の引退生活である。今でも公務員年金はこうした好待遇をそのまま継承している。改革こそ論議されているものの、加入者数すら公表されていないブラックボックスなのである。