では、なぜテナントリテンションが必要なのか?

しかしながら昨今は空室率が高止まりしている傾向にあり、特に郊外の物件では今の入居者をいかに繋ぎ止めるかという発想を持つオーナーが増えてきた。テナントを繋ぎ止めることで、「空室損失」と「テナント募集費用」、「原状回復負担」の3つを最小限に抑えるためだ。

①空室損失を抑える
まず1つ目の空室損失に関しては、空室が発生してしまうとその間賃料収入がなくなる、入居者からの解約予告は通常半年前に行われるため、オーナーとしては半年前から次の入居者探しを始めることができる。しかし、郊外の物件は、それでも入居者がなかなか決まらないケースが多い。郊外では1年以上空室の物件もあり、その間、維持費用も発生するため退去による損失は大きな問題だ。

②テナント募集費用を抑える
2つ目の理由としてはテナント募集費用である。具体的には不動産会社に支払う仲介手数料やAD(広告手数料)のことだ。入居者が入れ替わるたびにテナント募集費用として賃料の2〜3ヶ月分発生するため、オーナーとしては手痛い出費である。テナント募集費用が3ヶ月分もかかれば、オーナーとしては実際には空室期間プラス3ヶ月分、賃料が入らないのと同じことになってしまう。

③原状回復負担を抑える
3つ目の理由は、入居者が退去するとオーナーにも原状回復費用が発生する点である。原状回復は通常、入居者が入居前の現状に戻して明け渡すため、通常は入居者が全て負担する。しかしながら国土交通省が策定している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、通常使用による経年劣化はオーナーが費用を負担することになっている。そのためオーナーも入居者入れ替え時に原状回復費用が発生することが一般化している。またリフォームまで行う場合にはさらに費用が発生することになる。


テナントリテンションは高収益物件に変える力となる

テナントリテンションでは入居者との関係づくりがポイントだ。例えば、季節ごとに共用部をデコレーションするなど、温かみのある血の通った物件管理をすることも効果的だ。クリスマスには、エントランスにツリーの飾りをすることや、ハロウィンの時に掲示板を装飾するなどの入居者を飽きさせないサービスが考えられる。また入居者からのクレームにも真摯に対応し、良い大家さんという印象を持ってもらうことも一つだろう。店舗と顧客の間で行われている関係性マーケティングの考え方を不動産賃貸事業にも取り入れ、入居者との良い関係を築くことがテナントリテンションに繋がる。入居者の退去を抑えれば、収益性の高い賃貸事業が可能となる。テナントリテンションは、オーナーの力量によって、普通の物件を高収益物件に変える力になると言えるだろう。(ZUU online 編集部)

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