●アメリカ国債発行とアメリカ政府のシナリオ予想

どうせアメリカには、目先の局面を新規国債発行によって乗り切るしかカードがないのに議会で揉めているのは政争の具にしているだけです。 旗から見ていれば馬鹿馬鹿しい話ではありますが、それが現実です。 アメリカ議会において、共和党と民主党が合意をすれば相場環境は落ち着きを取り戻します。 前回のアメリカのデフォルト問題が話題になっていた時期も金利、為替、株式の各市場をアメリカ議会が動かしていたような状態でした。 ただし、あまりにも急激な動きをしていましたので、どのような金融商品を手がけるにしてもポジションを少し落として対応した方が賢明かも知れません。

また、仮にアメリカ議会が2013年秋頃のように紛糾しても一部政府機関の閉鎖程度に留まったりする程度です。 前回2013年秋頃のデフォルト危機問題の際には、この一部政府機関の閉鎖に対してアメリカ国民はNOを突きつけホワイトハウス前では連日抗議が行われました。 アメリカの大手金融機関を助け、ようやくアメリカが景気回復軌道に乗り始めている中でアメリカ国民が利用する政府施設を閉鎖するというのは世論が認めないようです。

2013年秋頃の前回よりアメリカ国債を暫定措置とはいえ発行しやすい世論形成に成功しています。 前回よりは、政争の具にできないとも見ることができます。 アメリカは、日本と違って国の財政の問題よりもしっかりと国民経済を回復させてから少しずつ財政のことを考えろという現実的な世論形成が保たれています。 「デフォルト危機問題」などと報道ではされていますが、 これについて過度にセンシティブになっては本質を見誤るのではないでしょうか。 アメリカ国民は、経済に対してリアリストであるという前提を忘れて「危機だ!危機だ!」と思い過ぎては投資家は最高の買い場が通り過ぎていくのを判断できないでしょう。

そして、アメリカ国債問題が起きている時は日本への投資も魅力的な時期になるのではないでしょうか。 日本の経済政策は基本的に安倍総理を中心として今までとは違いマトモな方向へ動いています。 センシティブになり過ぎた投資家が投げ売りをかけてくれたところで、少しポジションを取ってみると儲かりやすいでしょう。

日本の企業は、行き過ぎた円高と過酷過ぎる雇用環境を作ってきました。 しかし、アベノミクスによって経済は上向きとなり企業も上方修正を相次いで発表しています。 アメリカのデフォルト問題が発生している間に良い買い場は現れるのではないでしょうか。

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