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「安倍晋三首相が、携帯電話料金の家計負担軽減が大きな課題だとして、高市早苗総務相に対して料金引き下げの検討を指示した」——。甘利明経済再生担当は9月11日、経済財政諮問会議終了後の会見で明らかにした。携帯通信料が家庭支出に占める割合が拡大している上、携帯通信事業者が3社体制で固定化し「競争政策が働いていないとの指摘もある」として、首相が総務相に指示したという。

スマホ、ガラケー問わず日本の携帯電話の通信料は高いとされるが、果たして本当なのだろうか。海外の各都市で最もシェアの高い通信事業者を選定した料金プランの比較を含む『電気通信サービスに係る内外価格差調査』(総務省発表)によると、最高値は独デュッセルドルフで1万4352円。最安値がスウェーデン・ストックホルムで6629円だった。日本は1万478円とニューヨークに次いで3番目のため、たしかに世界的にも高額料金の分類に入るようだ。

携帯電話の電話割り当ての仕組み

携帯電話の通信は、特定の周波数の電波を使って行われる。一般用の移動体通信サービスに使われている電波の帯域は、大きく4つ(800MHz帯、1.5GHz帯、1.9GHz帯、2GHz帯)に別れている。そのうち1.9GHz帯をPHS、それ以外の3つを携帯電話が使用している。それ以外の帯域は、各種の衛星や業務用通信、気象レーダー、放送などさまざまな用途に使われており、勝手に携帯電話が使うことはでない。また電波は国境を超えて飛ぶため海外との調整も重要だ。

電波は総務省が各事業者に割り当て、テレビや携帯電話の各社はその対価として電波利用料を毎年払っている。「電波利用料の区分別収納済歳入額の推移」(総務省、2013年度)をみると、805億円の歳入のうち、NTTドコモは約244億円、auは167億円、ソフトバンクは139億円と3社で約7割を占めた。この電波使用料が、利用者への負担の一つになっていることから、これを高額の理由とする指摘もある。

ちなみにNHKおよび民放(地上テレビジョン放送事業者)128社・団体は、わずか約7%と、携帯電話大手3社の10分の1しか支払っていない。