2020年以降を見据えて、海外の不動産に注目が集まる

東京五輪まであと5年に迫るなか、投資の世界では五輪開催後の景気後退や不動産不況が不安視されている。五輪開催による短期需要で「プチバブル」が発生し、終了と同時にそのバブルが崩壊するという過程を開催国のほとんどが経験してきたためだ。

また、ここからさらに円安が進行するとの予想もあるなかで、富裕層の一部では円建て資産からドル建て資産への入れ替えが活発になっている。一口にドル建て資産と言っても対象先は無数に存在するが、そんな中で注目されているのが米国の不動産だ。リーマンショック以降、米国経済が真っ先に景気を回復させた原動力の一つが不動産市場の回復だ。

米国の不動産が注目された背景を簡単に説明すると、以下4つの理由が考えられる。

1.円安への対応策
日米の中央銀行の金融政策の違いから、長期で考えるとドル高・円安トレンドが想定される。そうなると、円の価値が下がるため、円資産の目減りは避けられそうもない。その対応法として考えられるのが基軸通貨「米ドル」への投資だ。

2.ドルを自分の資産に組み込む
基軸通貨であるドル資産を、自分の資産に組み込むことによって安定化を図ることができる。

3.米国経済の長期安定性に魅力
先進国でありながら唯一人口が増加している米国経済は、長期的に安定することが予想される。長期投資の視点で見た際に、米国不動産投資の将来性も高いと考えられる。

4.中古市場が整備され、流動性が担保されている
米国の不動産市場は、日本と異なり中古流通市場が発展しており、流動性が担保されている。さらに不動産取引市場の透明性が高く、外国人であっても参加しやすい環境が整っているのが特徴。

ハワイ(オアフ島)の不動産を注目すべき3つの理由

こうした様々な魅力を持つ米国不動産投資だが、その中でも富裕層の間で高い人気を誇るのがハワイの不動産だ。本国から遠く離れた地域にありながら、ハワイは長い間、富裕層を中心にその人気の高さを維持してきた。

島という土地柄、住宅供給されるエリアが限られているため、供給過剰にならず、不動産市場が安定する。また、世界的なリゾート地として確立され、世界中の人々から愛されているという高い需要が持続的にあるという特徴もある。そして近年、新築コンドミニアムの品質も向上し、安心で高水準のハワイ生活を楽しむ土壌が育っている。

その中でも、最も人口の多い「オアフ島」は新築・中古市場ともに流通量が多く、安定した価格を形成していると言われる。そういった背景から、富裕層の多くはハワイの不動産投資先として「オアフ島」を希望する。そこまでオアフが注目されるのはなぜだろうか。大きく分けて3つの理由を紹介する。

①不動産投資にとって重要な「出口」が安定している

ハワイには毎年約800万人もの観光客が訪れ、その大半はオアフ島に集中している。そのうち、約151万人は日本人旅行者だ。不動産オーナーの立場からすると、自分が使わないときには大量の観光客を対象に「短期宿泊施設」として賃貸運用する事が容易である。さらに、これだけの観光客が訪れる地域であるため、売却するときも売却先が見つかりやすいというメリットがある。不動産投資にとって重要な「出口」が安定しているということだ。

②不動産価値が長期に渡って安定していること

オアフ島は、他島と違い、日本をはじめ米国やカナダ、アジアの富裕層が憧れるエリアとなっている。その人気もあり、リーマンショック時でも下落率はハワイ他島と比べても低く、世界中で最も早く価格が回復したエリアとなった。オアフ島の不動産投資を検討する上で、不動産価格が下落しづらい背景に注目をすべきであろう。

③情報収集が容易で、購入後の物件管理の安心感

オアフ島は、日系人が多いこともあって日系の不動産会社が多いという特徴がある。これにより日本にいながらにしても日本語での情報収集ができ、渡航時には日本人による物件視察のサポートも受けることができる。さらに購入後の物件管理やメンテナンスなども安心して依頼することができる。海外の不動産投資に際して言葉の壁が少ないのは大切なポイントのひとつと言っていいだろう。

オアフ島を単なる不動産投資先として考えるのではなく、自分のバカンス先として利用したいという人も少なくない。自分が使うことも考えると、日系の不動産業者が多いことは魅力のひとつと言える。

資産形成に加え、節税効果も大きい

ハワイの不動産投資にはもう一つ大きなメリットがある。節税効果が日本に比べて極めて大きいことだ。日本と米国とでは、不動産の価値判断が大きく異なる。日本では一般的に土地と家屋の比率は、「8:2」程度と言われており、土地の評価額が圧倒的に高い。しかし米国では、土地と家屋の比率が「2:8」と、ほとんど家屋の価値によって物件価格が評価されている傾向がある。日本では、国内外を問わず事業に供している家屋に関しては「減価償却費」が必要経費として計上できる。

例を出して考えてみよう。木造住宅で22年を経過して耐用年数が過ぎている物件は、4年間で減価償却費を計上できることになっている。5000万円の木造物件の場合、家屋が8割とすれば4000万円。それを4年で償却できるとすれば、単純計算だが年間約1000万円ずつの減価償却が可能となり、効率的に所得税課税額を減額する事が可能となる。

また、ハワイの不動産の場合、外国人であっても現地の銀行から不動産ローンの融資を受けることができる。融資を受けるにあたっては、手数料や必要経費が日本と異なるなど海外特有の各種のリスクもあるため、ハワイの物件を扱っている不動産会社などに相談するのがよいだろう。