生命保険商品の状況

◆全体の状況

収入保険料の商品別内訳は、右図の通りである。職域年金保険(ユニット・リンク型とその他)が61%、養老保険(ユニット・リンク型とその他)が33%と、この2つの商品が殆どを占めている。年金保険等の構成比は6%でしかない。このように、スウェーデンの生命保険商品は、貯蓄・投資型商品が中心となっている(*7)。

スウェーデンの生命保険市場3

◆職域年金保険と年金制度

ここでは、主力商品である職域年金保険と、そのベースになる年金制度について説明する。

(1)年金制度

スウェーデンの年金制度は、公的年金、職域年金(企業年金)、個人年金の3本柱で構成されており、会社は職域年金を提供することが義務付けられている。この職域年金制度の概要は、以下の通りである。

ホワイトカラーは、「ITP」と呼ばれるDB(確定給付)型スキームに加入している(ただし、2007年に制度が変更され、1979年以降に生まれた人は、ITP1と呼ばれるDC(確定拠出)型へ移行することになった。

また、1978年以前に生まれた人は、引き続き旧スキームのDBのままでカバーされるが、名称がITP2に変更された)。これは、基本的には、デフォルト保険会社としてのAlectaによって管理されている(加入者の選択で他の保険会社の選択も可能)。さらに、これらの上乗せ給付を行う、ITPKと呼ばれるスキームがある。

一方で、ブルーカラーは、「SAF-LO」と呼ばれるスキームに加入している。これは、基本的には、デフォルト保険会社としてのAMFによって管理される。地方自治体の職員は、主としてDC型である「KAPKL」と呼ばれるスキームでカバーされる。政府職員は、主としてDB型である「PA03」と呼ばれるスキームでカバーされる。

(2)職域年金保険

生命保険会社が提供する職域年金保険は、職域年金のファンディングのための1つの手段として利用されている。また、職域年金保険は、就業不能、退職、遺族保障をカバーしているため、各種のリスク保障のために選択されている。

加入者である従業員は、職域年金の運用のために、各保険会社が提供している複数のファンドの選択が可能であるが、その中ではユニット・リンク型が半分近くを占めている。

◆養老保険・年金保険等

養老保険として分類されている商品には、伝統的なタイプの養老保険と預金タイプの保険があり、さらにユニット・リンク型も提供されている。年金保険は、元々構成比が低いが、税制の変更により、優遇措置である課税控除額が引き下げられたことから、今後はさらなる減少が予想されている。