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(写真=PIXTA)

収入と健康の2点から切り込んだ国・地域の繁栄度をランキング化した「 プロスペリティー・ インデックス」が発表され、日本は142カ国中19位であることが分かった。隣国では中国が52位、韓国が28位とどちらも日本を下回った。

従来のマクロ経済的な指針(GDPか国民の平均所得をベースとした国家収入など)による評価法ではなく、「繁栄には人生の楽しみや展望、より良い生活を形成できる可能性など、物質的な豊かさ以上のものがある」と観点に基づいている。

GDPに加え、ガバナンス、教育、国際組織、ビジネスなどは、ここ数年で健康指針の項目として注目を浴びている。プロスペリティー・ インデックスは、ロンドンのシンクタンク、レガタム研究所によって毎年発表されている。

ランキング上位は欧州勢が独占しており、アジアトップは、シンガポールとなった。では上位20位のランキングを以下に紹介したい。


ランキング結果(上位20カ国) 上位は欧州勢ばかり

1位 ノルウェー
2位 スイス
3位 デンマーク
4位 ニュージーランド
5位 スウェーデン
6位 カナダ
7位 オーストラリア
8位 オランダ
9位 フィンランド
10位 アイルランド

11位 アメリカ
12位 アイスランド
13位 ルクセンブルク
14位 ドイツ
15位 イギリス
16位 オーストリア
17位 シンガポール
18位 ベルギー
19位 日本
20位 香港

では、日本や隣国の中国、韓国について詳しく見てみよう。


日本19位 「教育」の改善が課題

昨年と同じ総合順位をキープ。「エコノミー」では25位。5年間のGDP 成長率は平均を下回っているものの(0.5%)、「金融機関(72・5%)」と「衣食住(93.4%)」が国際基準よりもはるかに充実しており、「就業状況(52%)」や「雇用の見通し」も高目で、「生活水準」に満足している国民が多い。

携帯電話の普及率やインターネットのセキュリティーも文句なしだが、「ビジネス」は22位とまずまずの結果に。スタートアップ向けのビジネス・オポチュニティーは平均の2分の1以下のスコア(38.9%)で、コストは抑えられているものの(7.5%)、スタートアップにとって理想的な都市ではないようだ。

「ガバナンス(19位)」では殆どの項目が平均を上回っており、国民の司法制度(74.4%)や自衛隊(90%)への信頼は高く、概ね現在の政府に満足している。

一方、「安心・安全面(22位)」が意外に低く、中でも政治的暴力への懸念(5%)が基準をこえている点が気にかかる。しかし全体的に犯罪率は低い方だろう。

7位の「ヘルス」では衛生面が100%、平均寿命も83.3%と高めで、乳児の死亡率も平均の10分の1以下である。(2.1%)「教育(28位)」も「生徒と教師の比率」以外の項目は全て高ポイントを獲得している。


中国52位 「寄付したことがある」はわずか8.1%

昨年から2ランクアップ。「エコノミー」は総合3位とアジア圏では突出している。5年間のGDP 成長率が平均(1.7%)を大きく上回っている(8.3%)。

「就業状況(75%)」と「金融機関(82.6%)」「衣食住(90.4%)」など、全体を通して高スコアだ。国内貯蓄が51.8%と、韓国(34.1%)や日本(18.3%)を大きく引き離している。

「ソーシャル・キャピタル」は総合28位。「頼りにできる家族や友人がいる(81.6%)」「周囲の人々が信頼できる(59.6%)」と社会と密接した関係を保っている国民が多い一方で、「チャリティーに寄付をしたことがある(8.1%)」人は少ない。

そのほかの項目は「パーソナルフリーダム(120位)」「安心・安全面(100位)」「政府(67位)」など、極端に順位が低いのが中国の特徴だ。中でも「個人の選択の自由」は世界平均の4分の1に満たないにも関わらず、80%以上が「自由の選択肢」に満足している点が興味深い。

「企業家活動とオポチュニティー(59位)」では、安全なインターネットサーバーが100万件中わずか7件という事実に驚かされる。インターネット帯域幅も平均130万Mpbsに対して3444Mpbsしかない。

「ヘルス」で特記すべきは、汚染問題の影響で呼吸器疾患が原因の死亡率が77.1%と非常に高い点だ。また乳児の死亡率も10.9%と日本、韓国に比べて高い。


韓国28位  「周囲の人々が信頼できる」のは25.8%

昨年から3ランクダウン。最も高評価を受けているのは17位の「経済」。5年間のGDP 成長率が中国ほどではないが、2.7%と平均よりは上で、65.6%の人が生活水準に満足している。「就業状況(52%)」「金融機関(50.5%)」「衣食住(73%)」といずれも過半数。

こちらもビジネスをスタートさせるにはあまり良い環境ではないようだが(39.8%)、安全なインターネットサーバー数は3カ国中トップ(100万中2177)だが、インターネット帯域幅は1886Mpbsと最も低い。

35位の「ガバナンス」では、選挙や自衛隊、司法制度への信頼が著しく欠落している。「教育」は20位と3カ国でトップ。大学や専門学校への進学率が、日本(61.5%)や中国(26.7%)と比べると99.1%と断然トップだ。

「ヘルス(21位)」では精神的な疲れが目立つ。85位の「ソーシャル・キャピタル」では「頼りにできる家族や友人がいる」と回答した国民が73.5%もいるにも関わらず、「周囲の人々が信頼できる」のは25.8%だ。

「パーソナル・フリーダム」の総合は66位と低迷。過半数が「自由の権利」に満足してはいるが(62.4%)、国際平均を下回っている。(ZUU online 編集部)

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