5年前に始まった環太平洋経済連携(TPP)協定が今年、ようやく大筋の合意にたどり着いた。日本が交渉に参加してから約2年を経て、世界の国内総生産(GDP)の約4割を占める巨大な経済圏が誕生することになった。

そのTPP協定に続いて、日本政府と欧州連合(EU)が経済連携協定 (EPA) の締結交渉を先月、ベルギーのブリュッセルで再開した。双方は関税撤廃などTPPの合意内容を踏まえて交渉を加速したいとしており、日欧EPAが発効すれば、GDPにおいて全世界の約3割を占める経済圏での投資が促進されることになりそうだ。

TPPの大筋合意をうけて日欧EPAの交渉も加速中

日本政府の最重要目標は、EUの自動車関税の引き下げだとされている。一方、EU側は日本に対し自動車分野などの非関税障壁の撤廃、鉄道市場の開放、政府調達の対象拡大などを求めており、交渉でも争点の一つとして取り上げられそうだ。

日本にとって 、 EUは輸出入総額の約10%(中国、米国に続く第3位)を占める相手であり、米国に次ぐ第2位の投資先でもある。日本へ最大の投資をしている地域はEUとなっており、経済的なインパクトも大きくなるとみられている。

この事実からしても日本とEUは貿易投資に関して緊密な関係を築いていることがわかる。日欧EPAを締結させることによって、相互の企業にとってよりよいビジネス環境を整備し、貿易投資を更に拡大させることになるだろう。

日本政府も欧州当局もEPAの締結には前向きで、EUの執行機関である欧州委員会のユンケル委員長は、安倍首相との会談で、来年のできるだけ早い時期に大筋合意することで一致したとしている。